公証人によって事務の取扱いが違うという現状。

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公証人によって事務の取扱いが違うという現状。

司法書士うみのブログ

2019/03/27 公証人によって事務の取扱いが違うという現状。

こんにちは。
司法書士海埜です。

高齢者の委任契約+任意後見契約について以前の記事で述べましたが、

【ひな型。財産管理委任契約の公正証書】

【ひな型。任意後見契約の公正証書】

 

公証役場の対応で不思議なことを耳にしました。

 

 

【相談者Aさんから】

Aさんは、母親を伴って公証役場へ行き、委任契約+任意後見契約の公正証書を作ってほしいと依頼しました。
(司法書士などは介在せず、ご本人達だけで直接行かれたそうです)
すると対応した公証人は会話の中で、「お母さん銀行預金の引出しとか、振込とか、自分でできますか?それくらいのことはできますよね?」とふいに聞いたそうです。
お母様は、銀行振込などはすでにほとんど娘に任せていましたが、「それくらい子供じゃないんだからできますよね?」という聞かれ方に、つい勢いで「できます」と答えたそうです。
そうしたところその公証人は、「それでは委任契約は必要ないですよね、任意後見契約だけで充分ですよね」と言って、作成を拒否しました。
「もう少し勉強してから来て下さい」ともおっしゃったそうです。

 

 

私はこの公証人の対応には、大いに疑問を感じるのですが、皆さんはいかがでしょうか。
この公証人の理屈でいくと、銀行振込手続きなどが自分自身でできなくなった段階で委任契約公正証書を作成しに来いということになりますが、その状況では、すでにお母様の意思能力に疑念が生じるレベルに陥っている可能性が高いですよね。そうすると委任契約は、もはやできないですよね。
任意後見契約だけを締結してもいいですが、そもそも委任契約をセットにするという手法は、そのほうがスムーズに財産管理できるからで、ぎりぎりの時期にならないとそのメリットを享受できないということなのでしょうか。

 

この相談者には、もう一人妹がいることから、公証人としては「将来もめないように、妹の同意をとったほうがいい」という趣旨でもあったかもしれません。
娘さんがお母様を支配しようとしていると感じて、老婆心で食い止めようとされたのでしょうか。
また昨今、委任契約+任意後見契約を締結したあとに、任意後見を発動させないで、親族が財産を好き勝手に使い込む事例が問題視されていますが、これを未然に防いでやったつもりだったのかもしれません。

いずれにしても、相談者には嫌な思い出が1つ増えただけで、まったく納得はできていないようでした。
公正証書を作成できないならできないで、大きく頷いて帰って頂く相談技術を、その公証人こそ「もう少し勉強」する必要があるんじゃないかと思います。

 

 

 

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