ひな型。財産管理委任契約の公正証書

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ひな型。財産管理委任契約の公正証書

司法書士うみのブログ

2019/02/08 ひな型。財産管理委任契約の公正証書

こんにちは。

司法書士海埜です。

今日は、財産管理契約➡任意後見契約のいわゆる「移行型」契約書のうち、財産管理契約書を引用してきました。

この契約書は、公証役場で実際に使用されているスタンダードなものです。

司法書士の業界では書類作成ソフトを使用して登記書類を作る事務所が多いですが、おそらく公証役場でも「公正証書作成ソフト」のようなソフトがあり、全国的に同一の仕様で文書作成が行われていると思われます。

世の中に文書の種類は数多くありますが、「ですます調」「さん付け」の公正証書は、この様式以外にないかと思います。

 

公正証書の頭書き部分

平成31年 第×××××号

委任契約及び任意後見契約公正証書

本公証人は、委任者●●●●さん(以下「●●さん」という。 )及び受任者▲▲▲▲さん(以下「▲▲さん」という。 )の依頼を受けて、本職役場において、以下の法律行為に関する趣旨を録取し、この証書を作成します。

 

1 委任契約(※第2で後半の任意後見契約が続きます)

第1条(契約の趣旨)

●●さんは、平成312月××日、自分の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務(以下「委任事務」という。)を▲▲さんにお願いし、その代理権を与えるための契約を結ぶものです。

第2条(任意後見契約との関係)

1 この契約を結んだ後、●●さんが精神上の病気等により判断能力が不十分な状況になったときは、▲▲さんは、家庭裁判所に対し、任意後見監督人の選任の請求をします。

2 この契約は、第2の任意後見契約について、任意後見監督人が選任され、効力が生じたときに終了します。

第3条(委任事務の範囲)

●●さんは、▲▲さんに対し、別紙「代理権目録(委任契約)」記載の委任事務(以下「本件委任事務」という。)を委任し、 ▲▲さんにその事務処理のための代理権を与えます。

第4条(証書等の引渡し等)

1 ●●さんは、▲▲さんに対し、適当と認める時期に、本件委任事務を処理するために必要と認める別紙「代理権目録(委任契約)」記載の証書等を引き渡します。

2 ▲▲さんは、その証書等の引渡しを受けたときは、●●さんに対し、その明細及び保管方法を記載した預り証を交付するものとします。

3 ▲▲さんは、引渡しを受けた証書等を本件委任事務処理のために使用することができます。

第5条(費用の負担)

▲▲さんが本件委任事務を処理するために必要な費用は、●●さんの負担とし、▲▲さんは、管理している●●さんの財産の中からこれを支出することができます。

第6条(報酬)

▲▲さんによる本件委任事務処理は、無報酬とします。

第7条(報告)

1 ▲▲さんは、●●さんに対し、随時、本件委任事務処理の状況について報告書を提出して報告します。

2 ●●さんは、▲▲さんに対し、いつでも、本件委任事務処理の状況につき報告を求めることができます。

第8条(契約の変更)

この契約に定めた代理権の範囲を変更する契約は、公正証書によってするものとします。

第9条(契約の解除)

●●さんと▲▲さんは、いつでもこの委任契約を解除することができます。ただし、解除は公証人の認証を受けた書面によってしなければならないものとします。

第10条(契約の終了)

この契約は、第2条第2項の場合のほか、次の場合に終了します。

●●さん又は▲▲さんが死亡又は破産手続開始決定を受けたとき

  • ▲▲さんが後見開始の審判を受けたとき
  • ●●さんが後見開始、 保佐開始又は補助開始の審判を受けたとき

 

財産の特定・明示はできないのか

このあとに、代理権目録が付きます。
以前はこの契約書の中で(あるいは代理権目録の中で)、一部の財産を特定・明示して委任することができました。
例えば委任者が多数の不動産を所有し、その中でもとくにアパートなど収益物件に関しては、物件の所在を記載して明示的に授権する、ということができていました。
(本来的にこの委任契約は、財産全体の管理を包括的に委任するという趣旨なので、一部の財産を特定・明示する必要は、ないと言えばないです。ただ場合により、受任者の権限を外部的に明確にしておくために、不動産などの財産を特定したいというご希望を頂くことが、これまであったということです。)
ところが最近の動向では、この取扱いは認められにくくなっている感触があります。ある公証人の説明では、家族信託との違いを意識した運用とのことでした。つまり個別具体的な記載は家族信託で行うべきで、財産管理契約においてはあくまで概括的な記載に止めるべきというのが、あるべき姿であると。
これが公証人会としての総意なのかは
確認はできていませんが、家族信託という手法が出て来て、既存の手法とのすみわけをきっちりさせたい、という意図のようです。
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