相続放棄検討中に。故人のスマホ料金を支払っても構わない?

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相続放棄検討中に。故人のスマホ料金を支払っても構わない?

司法書士うみのブログ

2019/04/10 相続放棄検討中に。故人のスマホ料金を支払っても構わない?

こんにちは。

司法書士海埜です。

相続放棄を検討できる期間は、原則として3ヶ月以内です。その間に相続財産の「処分」があると、法定単純承認にあたり、相続放棄ができなくなります(民法第921条)。

ただ、故人への請求が僅少な場合、支払ってあげたくなるのも人情として理解できる話しですよね。

今回は故人のスマホ代についての取扱いです。

 

ご相談

相続放棄の熟慮期間中です。亡き父の携帯電話に関して、携帯電話会社から督促状が届いていました。

金額は数千円ではあるものの、単純承認にならないように手続きをするにはどのようにしたらよろしいのでしょうか?

 

 

回答

民法第921条は、次のように定めています。

「次に掲げる場合には、相続人は、単純承認をしたものとみなす。
一  相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき。ただし、保存行為及び第602条に定める期間を超えない賃貸をすることは、この限りでない」

 

債務の返済が、この条文にいう「処分」にあたるかどうかですが、弁済期の到来した債務の返済そのものは但書の「保存行為」にあたり、法定単純承認にはならないとする裁判例があります(東京地裁平成27年3月30日判決)。

この理屈としては、債務を放っておくと利息や遅延損害金が膨らみ、相続債務が増加するため、支払が許されているからであろうと言われています。

ただしこの弁済に充てるお金を相続財産から出した場合は、相続財産を処分しているので、法定単純承認にあたることになります。

被相続人の預金口座からお金を引き出してしまったりした場合には、法定単純承認にあたる危険性が高まります。

 

言い換えると、亡父の財産に手を付けなければ、スマホ代を支払ったとしてもなお相続放棄はできる可能性は高いです。

ただ、家庭裁判所からは指摘を受ける可能性もありますし、数千円であるならば、遅延損害金が膨らんでも、そこまでの額にはならないので、支払をしない方が安全だと考える専門家もいます。

 

安全な支払方法

このあたりは個別具体的な事情で変わることもありますので、仮に支払をするのであれば(数千円程度ならば)

①口座間送金等の支払名義人が残り、かつ、誰の財産から支出されたかが明らかになる支払方法をとること

②相続人でなく、ご自身と生計が同じでない誰かの口座から送金して払ってもらうこと

この二つを満たす支払方法が、安全です。

ここまでするのは神経質だというご意見もあるようですが、「安全性」という点ではこれがベストかと思います。

 

 

 

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