ひな型。「移行型」代理権目録を比較。

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ひな型。「移行型」代理権目録を比較。

司法書士うみのブログ

2019/02/11 ひな型。「移行型」代理権目録を比較。

こんにちは。

司法書士海埜です。

こちらの記事の続きで、今日は委任契約・任意後見契約それぞれについている『代理権目録』を比較してみます。

【ひな型。財産管理委任契約の公正証書】

【ひな型。任意後見契約の公正証書】

下記は全国的に公証役場で使用されている代理権目録のフォーマットです。

 

 

代理権目録(委任契約)

 

①不動産、動産、株式等すべての財産の管理・保存等に関する一切の事項

②金融機関、証券会社、保険会社とのすべての取引に関する一切の事項

③定期的な収入の受領、定期的な支出を要する費用の支払いに関する一切の事項

④生活に必要な送金、物品の購入、代金の支払い及び郵便物の受領に関する一切の事項

⑤医療契約、介護契約その他の福祉サービス利用契約、要介護認定の申請等に関する一切の事項

⑥保険契約の締結、変更、解除、保険料の支払、保険金の受領等保険契約に関する一切の事項

⑦登記済権利証、預貯金通帳、有価証券その預り証、印鑑、印鑑登録カード、各種カード、年金証書・出資証書、 土地建物賃貸借契約書等貴重な契約書類の保管及び各事項処理に必要な範囲内の使用に関する一切の事項

⑧登記の申請、供託の申請、住民票・戸籍謄抄本の請求、登記事項証明書の請求、税務申告・納付等行政機関に対する一切の申請、請求、申告、支払等

 

代理権目録(任意後見契)

①不動産、 動産、 株式等すべての財産の管理 ・保存・処分等に関する一切の事項

②金融機関、 証券会社、 保険会社とのすべての取引に関する一切の事項

③定期的な収入の受領、 定期的な支出を要する費用の支払いに関する一切の事項

④生活に必要な送金、 物品の購入、 代金の支払い及び郵便物の受領に関する一切の事項

⑤医療契約、 介護契約その他の福祉サービス利用契約、要介護認定の申請等に関する一切の事項

⑥登記済権利証、 預貯金通帳、 有価証券 その預り証、印鑑、 印鑑登録カ ド、 各種カ ド、 年金証書 ・出資証書、 士地建物賃貸借契約書等貴重な契約書類の保管及び各事項処理に必要な範囲内の使用に関する一 切の事項

⑦遺産分割等相続に関する一 切の事項

⑧上記記載事項以外の本人の生活、 療養看護及び財産管理処分に関する一 切の事項

⑨以上の各事項に関して生ずる紛争の処理に関する一 切の事項(民事訴訟法第551 2項の訴訟行為、 弁護士に対する上記訴訟行為の授権、 公正証書の作成嘱託を含む。 )

⑩登記の申請、 供託の申請、 住民票 ・ 戸籍謄抄本の請求、 登記事項証明書の請求、 税務申告 ・納付等行政機関に対する一切の申請、請求、申告、支払等

⑪復代理人の選任、事務代行者の指定

 

2つの目録の違い

上記の代理権目録によれば、親御さんがまだ元気な時期と、意思を失って任意後見が発動したあとの時期とでは、受任者ができることが違います。

■両方の代理権目録はそれぞれの①で、「管理・保存」「管理・保存・処分」としています。従って任意後見発動後は「処分」することが可能ですが、その前段階で「処分」を行う場合は別途委任状を出すべきということになります。

■財産管理委任契約の⑥で、「保険契約」についての項目が一条を設けて入っていますが、任意後見では②に一言『保険会社とのすべての取引に関する一切の事項』とだけ入っています。この扱いの違いは何なのかというと(それほど大事な意味があるのかないのか解らないですが)保険は本来的に、保険契約者の意思がなければ成立しないし変更もできない性質のもので、本人が元気なうちは自分でやって下さいというようにも読めます。親族によるいわゆる保険金詐欺のような事態を警戒しているのかなということです。

■任意後見の⑦には「遺産分割」が入っているのに対して、財産管理委任契約には含まれていません。親御さんがしっかりしているうちはご自分でやるべきことだからです。

■財産管理委任契約の⑧は、「財産管理処分に関する一切の事項」と概括的委任が含まれているのに対して、委任契約は個別的委任のみです。

■任意後見契約の⑨は、訴訟行為の委任ですが財産管理委任契約には含まれません。これも、親御さんがしっかりしているうちは別途委任状を出すべき事項だからかと思われます。

 

2つの目録を並べてみましたが、その違いは微妙すぎて一般の利用者にはわからないかなという気はします。公証人によっては、財産管理委任契約・任意後見契約の代理権目録を共通の1通でまとめて下さったこともあったのですが、
やはりこのフォーマットを使用してくれと言われることのほうが多いです。

 

代理権をあまり自由にカスタムできてしまうと、本来あるべき「移行型」の姿から離れてますます横領的な運用を許してしまう可能性が否定できないことや、
家族信託とのすみわけをはっきりさせる必要があることが、その理由です。

家族信託の代わりに「移行型」を検討するにしても、当事者がその違いを認識しておく、我々士業も説明を用意しておくということが大事だなと思います。

 

 

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