親権の「停止」が認められた例【宮崎家審H25.3.29家月65巻6号115頁】
こんにちは。
司法書士海埜です。
前回に引き続きです。⏬
日本の家庭裁判所は、「親権」を神聖視というか、絶対視する傾向がこれまで拭えませんでした。
かつて、親権のなかの所謂「命名権」をめぐって
「悪魔くん事件」と呼ばれる事案がメディアで話題になりました。子の父親が出生届を出す際に、「悪魔」という名を記入して届けを出したことが問題となりました。当時、私はまだ小学生でしたが、あまりにも印象的なニュースだったのでよく覚えています。
この件は結局、命名権の逸脱・濫用とされ「悪魔」は子の名前として認められませんでした。
(東京家裁八王子審H6.1.30判例時報1486号56頁)
「命名権」が親の権利なのか、それともこどもの権利なのかといえば、それは「親権の一部だから親の権利だ」という主張があります。しかし「こどもの権利条約」の中では、名前を得るのは子供の権利であると明文化されていることから、「本来的には子の権利であって、親はそのための事務を引き受けているにすぎない」と構成する人もいます。
また最近のケースで、2年間の親権停止を初めて認めた例があります。
この件は、子の成人まであと2~3年と短い期間であったことから、「親権の剥奪」などではなくて「停止」となったと言います。
(宮崎家審H25.3.29家月65巻6号115頁)
実母は未成年であり、子の出生時からを養育しないで、子が通う高校に勝手に退学届けを出すなど。また養父は、子のアルバイト代をよこどりしたり、子に必要な医療を受けさせないなど、父母ともに適切な親権の行使がまったく期待できないケースでした。
ただ上記の2件は本当に珍しい特殊な案件で、親権を公的に制限・停止することは、今の実務では基本的にはできないと考えておいたほうが良いです。
子の福祉などは自分の仕事ではないとばかりに、認定事実だけを事実と考えているような裁判官もいます。母の死後、子は祖父母になついており、実の父親(親権者)には暴力性向あるような場合でも、
「親権があるほうに引き渡します」
「親は血が繋がってるので。」
「警察で事実が認められたら虐待でしょうねー」
と言う裁判官も、講師によれば実際にいたそうです。
確かに「なにが子の幸せなのか?」は他人はおろか、親にも計り知れないところはありますよね。子育てはそういうものです。しかし現に命の危険があり、最低限の権利が脅かされている場合には、1歩も2歩も踏み込んでいくような法整備が必要ではないかと思いました。
メール umino@umino-legal.jp
住所 〒182-0024 東京都調布市布田3-19-9
受付時間 平日9:00~16:00
司法書士法人海埜事務所
住所:東京都調布市布田3-19-9
NEW
-
2026.09.06
-
2026.05.13遺言書に「まかせる」...こんにちは。司法書士海埜です。自筆の遺言書で、...
-
2026.05.11被相続人の現金を、外...こんにちは。司法書士海埜です。先日、フランス在...
-
2026.05.08海外在住者対象の相続...こんにちは。司法書士海埜です。先月、海外在住者...
-
2026.05.06夫の成年後見人は、妻...こんにちは。司法書士海埜です。掲題のようなご質...
-
2026.05.04借金がたくさんある方...こんにちは。司法書士海埜です。新規で成年後見人...
-
2026.05.01公正証書のデジタル化...こんにちは。司法書士海埜です。先日、民事信託(...
-
2026.04.29「裁判官マップ」が話...こんにちは。司法書士海埜です。「インターネット...
CATEGORY
ARCHIVE
- 2026/091
- 2026/056
- 2026/045
- 2026/033
- 2026/011
- 2025/072
- 2024/051
- 2024/042
- 2024/034
- 2024/021
- 2023/116
- 2023/101
- 2023/081
- 2023/054
- 2023/044
- 2023/035
- 2022/081
- 2022/061
- 2022/041
- 2022/032
- 2022/023
- 2021/116
- 2021/101
- 2021/081
- 2021/072
- 2021/066
- 2021/031
- 2020/102
- 2020/091
- 2020/081
- 2020/076
- 2020/063
- 2020/055
- 2020/024
- 2019/121
- 2019/113
- 2019/103
- 2019/092
- 2019/083
- 2019/071
- 2019/067
- 2019/057
- 2019/0412
- 2019/0317
- 2019/0222
- 2019/0121
- 2018/1236
- 2018/1132
- 2018/1035