親権の「停止」が認められた例【宮崎家審H25.3.29家月65巻6号115頁】

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親権の「停止」が認められた例【宮崎家審H25.3.29家月65巻6号115頁】

司法書士うみのブログ

2019/01/16 親権の「停止」が認められた例【宮崎家審H25.3.29家月65巻6号115頁】

こんにちは。

司法書士海埜です。

前回に引き続きです。⏬

【体罰は親権の行使なのか?こどもの法的権利について。】

日本の家庭裁判所は、「親権」を神聖視というか、絶対視する傾向がこれまで拭えませんでした。

 

 

かつて、親権のなかの所謂「命名権」をめぐって

「悪魔くん事件」と呼ばれる事案がメディアで話題になりました。子の父親が出生届を出す際に、「悪魔」という名を記入して届けを出したことが問題となりました。当時、私はまだ小学生でしたが、あまりにも印象的なニュースだったのでよく覚えています。
この件は結局、命名権の逸脱・濫用とされ「悪魔」は子の名前として認められませんでした。
(東京家裁八王子審H6.1.30判例時報1486号56頁)

「命名権」が親の権利なのか、それともこどもの権利なのかといえば、それは「親権の一部だから親の権利だ」という主張があります。しかし「こどもの権利条約」の中では、名前を得るのは子供の権利であると明文化されていることから、「本来的には子の権利であって、親はそのための事務を引き受けているにすぎない」と構成する人もいます。

 

 

また最近のケースで、2年間の親権停止を初めて認めた例があります。

この件は、子の成人まであと2~3年と短い期間であったことから、「親権の剥奪」などではなくて「停止」となったと言います。
(宮崎家審H25.3.29家月65巻6号115頁)
実母は未成年であり、子の出生時からを養育しないで、子が通う高校に勝手に退学届けを出すなど。また養父は、子のアルバイト代をよこどりしたり、子に必要な医療を受けさせないなど、父母ともに適切な親権の行使がまったく期待できないケースでした。

 

 

ただ上記の2件は本当に珍しい特殊な案件で、親権を公的に制限・停止することは、今の実務では基本的にはできないと考えておいたほうが良いです。

子の福祉などは自分の仕事ではないとばかりに、認定事実だけを事実と考えているような裁判官もいます。母の死後、子は祖父母になついており、実の父親(親権者)には暴力性向あるような場合でも、
「親権があるほうに引き渡します」
「親は血が繋がってるので。」
「警察で事実が認められたら虐待でしょうねー」

と言う裁判官も、講師によれば実際にいたそうです。

 

 

確かに「なにが子の幸せなのか?」は他人はおろか、親にも計り知れないところはありますよね。子育てはそういうものです。しかし現に命の危険があり、最低限の権利が脅かされている場合には、1歩も2歩も踏み込んでいくような法整備が必要ではないかと思いました。

 

 

 

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