遺産分割協議後に、自分が相続した財産を他人に贈与されてしまった場合。

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遺産分割協議後に、自分が相続した財産を他人に贈与されてしまった場合。

司法書士うみのブログ

2018/12/17 遺産分割協議後に、自分が相続した財産を他人に贈与されてしまった場合。

こんにちは。

司法書士海埜です。

前回まで遺産分割協議をテーマにまとめています。⏬

【遺産分割協議に参加すべき人。参加できない人。】

【遺産分割協議の指針。法定相続分と同じ内容の分割も可】

 

今日は「遺産分割協議したはずなのに、なぜか兄によって、弟の名義とするべき不動産が第三者に贈与されてしまった」という場合について。

この事例は、法学部の学生さんでも知っているような有名かつ古典的な論点で、実は学会や登記実務の世界では、判例によって一応の決着がついています。

 

 

遺産分割の効果

まず上記の問題に入る前に、遺産分割協議の法律的な効果についておさらいしましょう。

民法909条では、遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼって効力を生じるとされています。したがって、協議分割がなされたときは、 協議成立の時に分割されるのではなく、相続開始の時(=被相続人の死亡時)にさかのぼって協議内容に応じた分割されたことになります。このことを遺産分割の「遡及効ソキュウコウ」と呼びます。

 

遡及効と「第三者」

しかし民法には、この遡及効によって第三者の権利を害することはできない、ということが書かれています(民909ただし書)。

この「第三者」とは一体誰なのかといえば

まさに上記の事例で、「弟が取得すべき不動産を、兄から贈与された第三者」のことです。

 

本来的にはこの不動産は弟のものになるはず…

しかし民法909的には第三者も保護しなければならない。この関係をどう整理するか?が問題になってきます。

そこで判例では、この第三者を保護するため、弟との関係では「登記を先に行ったほうが権利を取得する」と結論づけているのです。

 

登記の先後によって決着する。

この理屈としては「第三者に対する関係においては、相続人が相続によりいったん取得した権利につき分割時に新たな変更を生ずるのと実質上異ならない」(最判昭46·1·26 民集25·1·90、判時620·45)ことになり、遺産分割により不動産を取得した相続人と分割後にその不動産につき権利を取褐した第三者とは対抗関係になって、 先に登記を取得した方が権利を主張できるから

だとしています。

 

ちょっと理解しずらいかもしれませんが、これは不動産売買による二重譲渡の事例と同じ考え方です。

「A➡B、A➡Cと二重に売買があった場合は、B、Cのうち登記が早いほうが所有者となる」

この考え方を、上記事例の場合にも応用するというわけです。

 

 

 

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