遺産分割を行ったときは、必ず「遺産分割協議書」を作らなければならない?

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遺産分割を行ったときは、必ず「遺産分割協議書」を作らなければならない?

司法書士うみのブログ

2018/12/17 遺産分割を行ったときは、必ず「遺産分割協議書」を作らなければならない?

こんにちは。

司法書士海埜です。

前回まで遺産分割協議をテーマにまとめてきました。⏬

【遺産分割協議に参加すべき人。参加できない人。】

【遺産分割協議の指針。法定相続分と同じ内容の分割も可】

【遺産分割協議後に、自分が相続した財産を他人に贈与された。】

今日はいわゆる「遺産分割協議書」を、必ず作らなければならないか?というご質問に応える内容です。

 

「遺産分割協議書」は理論的には必須でない。

先に結論を言ってしまうと、遺産分割協議は、「絶対に必要」「作成しなければ違法」というものではありません。

もちろん、不動産登記や銀行の手続きで必要なときは作成しなければなりませんが、民法上は「必ず作りなさい」という規定はどこにもないのです。

ご自身の親族関係を思い浮かべてみて下さい。

非常に仲がよく、揉める要素もなく、遺産分割は以前からの話し合いで決定している場合、あえて協議書を作ろうとは言い出しにくいこともあるのではないでしょうか。

遺産分割協議書の作成は遺産分割協議成立の証拠にすぎません。それが作成されていないからといって、分割協議そのものが無効となることはありません。

これまでに、遺産分割協議書がなくとも遺産分割協議の黙示的成立が認められた例は数多くあります(徳島家審昭53·8·16家月31·6·44ほか多数。)。 ※ただし「相続分のないことの証明書」の交付がされた場合など、個別事情によります。

 

分割協議書があっても、分割協議が認められない事例も…

他方、遺産分割協議書が作成されていても、それが相続税対策のためのみに作成されたもので、 納税後に遺産分割協議をすることが合意されている場合に、そもそも遺産分割が不存在であるとされた例があります(東京地判平25·6·6 (平24 (ワ)6616))。

ですから上記の例と考えあわせると、遺産分割協議の実態が伴っているかどうかが重要で、

「遺産分割協議書」や、それに類する「覚書」「確認書」が形式上存在するかどうかは、ある意味では二の次だということができます。

 

「遺産分割協議」が争いを防ぐこともあります。

しかし上記で述べた内容は、あくまで理論上のことです。遺産分割協議書が、 遺産分割について合意が成立した証拠として重要な役割を果たすことはいうまでもありません。

口頭の話し合いで合意したものと考えていても、経済状況の変化などで、一部の相続人があとから覆してくることは往々にしてあるものです。

そういった場合でも遺産分割協議書が手元にあれば、他の相続人に対向する武器になるということです。

遺産に不動産が含まれるかに関わらず、後の手続や争い発生防止を考慮すれば、遺産分割協議書を作成するのが望ましいのです。

 

 

 

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