抵当権がついている不動産の家族信託。

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抵当権がついている不動産の家族信託。

司法書士うみのブログ

2020/02/04 抵当権がついている不動産の家族信託。

 

こんにちは。
司法書士海埜です。

家族信託についてのご相談で、銀行との交渉が必要な案件が増えてきました。
つまり信託に入れたい物件に、すでに借入によって抵当権がついているという場合です。

借入の性質によっても違ってくると思いますが、当事務所の経験値からいうと、このようにすでに担保権がついている物件であっても、「絶対に信託に入れることができない」かというとそうでもないんですね。

 

誰もが知っているメガバンクで、住宅ローンが入っている物件を信託財産としてもいいかを問い合わせたところ、すんなりと「OK」というお返事を頂いたことがあります。
(これは平成28年頃のことなので、今は取り扱いが変わっている可能性はありますが)

 

一方で、賃貸経営用のアパートローンが入っている物件で同じく銀行に問い合わせたところ、「家族信託契約は当行との契約に違反するので、やめて下さい」と言われた例もあります。
具体的に、どの契約書の何条に違反するのかは、はっきり教えてもらえませんでしたが、
抵当権設定契約書をよく読むと確かに「入担物件を譲渡するには、事前に当行の承諾を得なければならない」と書いてありまして、おそらくこの定めに反するという趣旨ではないかと思います。

しかし信託は信託であって「譲渡」ではないんですよね。
仮に「譲渡」にあたるとしても、この定めに従えば銀行の「事前の承諾」さえあれば譲渡が可能だということになります。

そうしますと、それではどうすれば「事前の承諾」を得られるのかという流れになってきますので、ここからが銀行との交渉、話し合いになるというわけです。
しかしこの部分はとてもハードルが高いです。

 

家族信託を利用するお客様は、金融機関にとってはまだまだ「特別扱い」のような位置付けで、はっきり言うと手数がかかるわりに銀行側の旨みがない、商売にならない領域のようなんですね。ローンの営業担当者にとっても、契約件数が増えるわけでもないのでなんの得にもなりません。
ですのでもう面倒くさい顧客になり切って、家族信託を強く希望する旨を伝えていくしかないです。

 

そして話を聞いてもらえる場に辿りついたところで、債務引受などの提案を行うことができると思います。
受託者が債務を引受けて予め銀行のリスクを軽減するということです。
しかしここまで来ても、銀行から承諾をもらえるかどうかはわかりません。

 

そうまでして家族信託導入を希望するのかというところに立ち返ってしまいますよね。
でも、従来の後見制度に不審感を持つ方や、家族の特殊な事情などで、本当に家族信託を必要としている方々は大勢いらっしゃいます。
ここ数年の家族信託の広がりを見ていると、普通に信託が商品化される時代も遠くないかと思いますが、現時点ではこれが日本の民事信託の一面ということです。

 

 

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