55年間の放置によって相続登記が困難になる例

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55年間の放置によって相続登記が困難になる例

司法書士うみのブログ

2019/11/25 55年間の放置によって相続登記が困難になる例

こんにちは。
司法書士海埜です。
私の司法書士歴はそろそろ12年ほどになりますが、相続登記で初めて「これはできないのじゃないか」という弱音がよぎりましたので、みなさんのご参考に、また備忘録的に上げておきます。


今回の問題点はたったひとつ。
簡単に言うと、被相続人の最後の住所(その前の住所も)に関する記録が取得できないのです。

相続登記では通常、登記上の被相続人が、戸籍上の被相続人と同一人物であることを、その住所のつながりをもって確知しますよね。
これは我々司法書士もそうだし、法務局も同様の思考方法を取っています。
ただ、「住所のつながりがつかない」という場合も相続登記を受任しますと往々にしてあります。そういう時は、例えば被相続人名義の権利証とか、相続人全員の上申書とかを添付して、同一人物性を証明するわけです。今回は権利書は紛失。上申内容は分割協議書に記載することとしました。(上申内容というのは、「住所はつながらないけれども、戸籍上の被相続人と謄本上の被相続人は同一人物ですよ」という一文です)

固定資産評価証明書の宛名も、被相続人の氏名住所(登記上の)と一致していたので、それで証明としては充分ではないかと考えました。

しかし今回は、それだけではとおりませんでした。
登記官いわく、
「被相続人が所有権を取得したのは、明治40年のことであり、その当時はまだ住民票が制度化されていなかったため、不動産登記の名義人はすべて「番戸」で登記されている。
したがって不動産登記の名義人住所と、明治40年当時の本籍が一致すれば本人性は一応担保されると言えるが……」
残念ながら今回はこれらが一致しなかったのですね。
(なぜ一致しないのかは全くわかりません)
そうすると書類上は、登記上の被相続人と、戸籍上の被相続人は、同姓同名の別人と見なさざるを得ないことになるのですね。

ここでもし被相続人の権利証があれば、もしかしたら一発解決できたのかも知れないのですが、なにしろ明治からのことで、権利証は紛失されています。


そこで登記官から次のような指示がありました。
「①〜③を揃えれば、登記を通さないこともない」というニュアンスです。
①不在住・不在籍証明
②固定資産税納税証明書(他人物に対して納税はしないであろうという証明として)
③近隣住民(親族以外)2名以上の申立書
このうち③はけっこう難関で、近隣住民であれば誰でもいいわけではありません。
わりと古くから近隣に住み、対象不動産がかつて被相続人の所有であったことや、現在はその相続人が引継いでいることなどを証言できる方である必要があります。そういった昔からの住人が全員亡くなっていて、申立書を取る見込みが立たなければ、また違う手段を検討することになると思います。
またこの申立書は、申立者(近隣住民の方)の実印で押印頂き、印鑑証明書も添付する必要があり、この点でもハードルが高いので、時間をかけて、かなり丁寧に立証していく気構えが要るのですね。

同一の事例でも他の管轄登記所であれば、もしかすると取扱が異なるのかもしれません。今回は被相続人の改製原附票が1通も存在せず、なおかつ、出生から現在のどの本籍地も明治40年当時の登記簿と一致しなかったケースですので、その点を留意のうえご参考にして頂ければと思います。

 

 

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