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住宅ローンを遺して債務者が亡くなった場合、誰がローンを支払うのか?
こんにちは。 司法書士海埜です。 多くの方が住宅ローンで自宅不動産を購入しますが、債務者が亡くなった場合に備えて「団信」という仕組みがあります。団信は、ごく簡単に言えば、債務者が亡くなった場合には債務が消えるというある種の保険です。 では、団信に加入していなかった場合や、団信の期間が切れていた場合は、どうなってしまうのでしょうか。
私は、父と連帯債務の住宅ローンを組みました。 そして去年父は亡くなりました。年齢の縛りがあって、団信に入っていない状態で債務が残ったままです。
父の遺言書では「すべてA(相談者の兄)が相続する」となっていますが、添付されていた財産一覧には、ローンについての記入はありませんでした。 でも「一切の財産」とあるので、ローンも全額兄が相続するものと私は考えております。 今現在ローンは、母の口座から引き落とされているので、これを兄の口座に変更すべきと思います。 すっきりしない状況です。 法律に照らして、どのように整理すればよいでしょうか。
この方は、立場としては連帯債務者ですから、そもそも連帯債務者として支払義務があります。これは、相続があったという事象とは、まったく関係なく発生している義務です。
また、住宅ローン債務は、法律上当然に法定相続分に応じて分割承継されるという判例があります(最高裁昭和34年6月19日判決)。従ってお父様の遺言を根拠に「兄が全額支払うべき」との主張をすることはできません。 しかし一方で、最高裁平成21年3月24日判決で『相続人のうちの1人に対して財産全部を相続させる旨の遺言がされた場合には、遺言の趣旨等から相続債務については当該相続人にすべてを相続させる意思のないことが明らかであるなどの特段の事情のない限り、相続人間においては当該相続人が相続債務もすべて承継したと解される』と判示されていますので、これを根拠として、兄が全額負担すべきことを主張できなくはないです。 またこの判例を踏まえると、ローンの引き落とし口座については、お母様の口座から引落されるのが合理的だと言えますので、銀行に強く訴えてもいいかと思います。
上記が一応の指針となるわけですが、もちろんお兄様、お母様、相談者との間で、任意の取り決めを行うことについてはまったく差し支えありません。
例えば現状、お母様の口座からローンが引き落とされているのだとしても、また相談者に連帯債務者としての義務があるのだとしても、個別の事情で内部的に、実際の負担はお兄様が負うなどとする合意は可能だということです。
24/05/16
24/04/25
24/04/07
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こんにちは。
司法書士海埜です。
多くの方が住宅ローンで自宅不動産を購入しますが、債務者が亡くなった場合に備えて「団信」という仕組みがあります。団信は、ごく簡単に言えば、債務者が亡くなった場合には債務が消えるというある種の保険です。
では、団信に加入していなかった場合や、団信の期間が切れていた場合は、どうなってしまうのでしょうか。
事例
私は、父と連帯債務の住宅ローンを組みました。
そして去年父は亡くなりました。年齢の縛りがあって、団信に入っていない状態で債務が残ったままです。
父の遺言書では「すべてA(相談者の兄)が相続する」となっていますが、添付されていた財産一覧には、ローンについての記入はありませんでした。
でも「一切の財産」とあるので、ローンも全額兄が相続するものと私は考えております。
今現在ローンは、母の口座から引き落とされているので、これを兄の口座に変更すべきと思います。
すっきりしない状況です。
法律に照らして、どのように整理すればよいでしょうか。
相続と連帯債務者
この方は、立場としては連帯債務者ですから、そもそも連帯債務者として支払義務があります。これは、相続があったという事象とは、まったく関係なく発生している義務です。
住宅ローンと相続
また、住宅ローン債務は、法律上当然に法定相続分に応じて分割承継されるという判例があります(最高裁昭和34年6月19日判決)。従ってお父様の遺言を根拠に「兄が全額支払うべき」との主張をすることはできません。
しかし一方で、最高裁平成21年3月24日判決で『相続人のうちの1人に対して財産全部を相続させる旨の遺言がされた場合には、遺言の趣旨等から相続債務については当該相続人にすべてを相続させる意思のないことが明らかであるなどの特段の事情のない限り、相続人間においては当該相続人が相続債務もすべて承継したと解される』と判示されていますので、これを根拠として、兄が全額負担すべきことを主張できなくはないです。
またこの判例を踏まえると、ローンの引き落とし口座については、お母様の口座から引落されるのが合理的だと言えますので、銀行に強く訴えてもいいかと思います。
親族間で任意の取り決めは可能
上記が一応の指針となるわけですが、もちろんお兄様、お母様、相談者との間で、任意の取り決めを行うことについてはまったく差し支えありません。
例えば現状、お母様の口座からローンが引き落とされているのだとしても、また相談者に連帯債務者としての義務があるのだとしても、個別の事情で内部的に、実際の負担はお兄様が負うなどとする合意は可能だということです。
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