信託金銭を信託口口座に移そうと思っているうちに、委託者が亡くなったケース

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信託金銭を信託口口座に移そうと思っているうちに、委託者が亡くなったケース

司法書士うみのブログ

2019/04/23 信託金銭を信託口口座に移そうと思っているうちに、委託者が亡くなったケース

 

こんにちは。
司法書士海埜です。
信託金銭は、信託口口座(または信託用に作った専用の口座)で管理するのが望ましいのですが、それをするにはまず、現金を信託口口座に移動させなければなりませんよね。
この作業を行うには、委託者本人が銀行に赴く必要があります。
ところが、委託者は高齢者が多いので、体調等の理由でなかなか銀行に連れて行けないということがあります。そうこうしているうちに、委託者が亡くなってしまうこともあり得ます。
先日実際に起こったケースをシェアしましょう。

 

経緯

①信託金銭3000万円として、信託契約公正証書を作成しました。
■委託者兼受益者=父
■受託者=長女
■父亡きあとの残余財産はすべて長女に帰属

②信託金銭1000万円については、あらかじめ用意した三井住友信託銀行の信託口口座に移しました。

③残りの2000万円についても信託口へ移動しようと予定していたところ、父親の具合が悪くなり亡くなりました。
この2000万円は、父親個人の口座に残ったままです。

 

疑問点。いったん信託口に移すべき?

お父様亡きあと、この現金はどのように取扱うべきでしょうか。
まず信託口口座に移した1000万円については、銀行の指定する書類を用意すれば、信託契約に従って比較的容易に、最終の帰属者である長女の口座に移せます。

それでは信託口に移せなかった2000万円についてはどうでしょうか?
この現金はもともと信託財産だったので理屈としては、いったん信託口に移したのち、最終帰属権利者に移す、という動きをとるべきだった現金です。従ってそのような手続きを行うべきなのでしょうか?

 

相続として取扱うのが簡単?

しかし父親が死亡した今となっては、そのような複雑な動きを取る意味はまったくないですよね。
それに、結局は相続が発生した場合と同じ効果が生じているだけであることや、父親の個人口座(信託に対応していない金融機関)から、長女が清算受託者として現金を移動させるには個別交渉になることを考えると、わざわざそんなことをやる必要もない気がします。
銀行における通常の相続手続きと同様、長女を含めた相続人間の分割協議書を作成のうえ、長女に直接1000万円を移すほうが簡便です。

 

結論

この場合、お父様の死亡をもって既に信託は終了しているので、事後、現金を信託口口座に移動させることはできません。
お父様の個人口座にある現金に関しては分割協議書を作成したうえで、通常の相続と同じく相続人の口座に移すことで十分です。
そしてこの場合、税務面においては、信託口口座にあった現金についても、お父様個人口座にあった現金に関しても同じ取扱いで、特段の問題は発生しません。

 

 

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