家族信託。銀行担保付き物件を信託財産とする場合。

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家族信託。銀行担保付き物件を信託財産とする場合。

司法書士うみのブログ

2019/04/04 家族信託。銀行担保付き物件を信託財産とする場合。

 

こんにちは。
司法書士海埜です。
『家族信託実務ガイド』という雑誌が、日本法令から出版されています。
この雑誌は、家族信託の最新情報をかなり詳細に伝えていまして、家族信託に携わる実務担当者や、私達のような士業向けの最新情報が掲載されています。
オススメです。
今回はこの雑誌からの抜粋です。

銀行の抵当権付き物件を信託することができるか。

最新号第13号は、金融機関の民事信託への取組みというテーマです。
これまで弊所で承ったご相談の中で、
親御さん名義の不動産に、銀行ローンの抵当権がついていることがありました。そうすると、
『信託契約を結ぶにあたって、この銀行の了解は取らなくていいのか』
『すでに銀行の抵当権が設定された物件を、そもそも信託財産とする信託契約ができるか』ということがいつも論点になってきました。

それで、「じゃあ銀行に確認してみましょう」ということになるのですが
弊所の事例ですと銀行さんの反応としては
「別に構いませんよ」というか、「ちょっとよく分からないので上に相談します」となって、そのまま立消えになるかのどちらかでした。

 

考えられる問題点

もちろん、上記のような信託は、理論的に不可能というわけではありません。
しかし1つ大事なところがあって、

抵当権付きの物件を信託することによって、その抵当権の債務まで受託者に移転するわけではないということなのです。
つまり、抵当権付きの物件を信託財産に入れると、物件の所有者(=受託者)と、債務者(=依然として委託者)は別々に別れてしまいますよね。

 

この状態で債務の不払いとなった場合は、どうなるでしょうか。
もしこの物件がアパートなど収益物件である場合は、賃料収入をいれる口座(受託者名義)と、銀行への返済引落とし口座(委託者名義)は、別々になっているはずです。
銀行としては、この状況では、不払い時即座に相殺することができなくなります。
また、もし物件に収益性がない場合でも、物件を売却しようとする時に問題が発生します。担保付きの場合、売却代金をもって繰上返済する流れになることが一般的ですよね。売却手続きそのものは受託者が単独でできるとしても、債務者=委託者である以上、繰上返済手続きは委託者が行わなければなりません。従ってその時、委託者がすでに認知症にかかっていると、繰上返済できない事態になります。

 

債務引受け

これを避けるためには、信託設定時にあらかじめ債務引受けを行うことが必要です。そして債務引受けを行うためには、実務上、銀行との契約が必須です。
従って、やはり銀行の抵当権付き物件がある場合は、

銀行に申し入れをして了解を得、銀行が必要だと言えば債務引受け契約までやらなければ、手落ちだということになるかと思います。

 

 

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