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商業登記懈怠と過料
こんにちは。 司法書士海埜です。 会社の登記では、
「会社において…………変更が生じたときは、二週間以内に、その本店の所在地において、変更の登記をしなければならない」と定められています(会社法第915条1項)。会社の登記事項に変更があるときは、基本的には2週間以内に変更登記手続きを行う必要がある、ということです。 そしてもし2週間以内に登記しなかった場合には、過料の制裁があります。 会社法976条によれば「この法律の規定による登記をすることを怠ったとき」は「百万円以下の過料に処する」とされています。
ところが実際には、例えば役員辞任の日から3ヶ月くらい経過したあとにその退任登記を申請した場合でも、過料通知が届くことはほぼありません。
現在の取扱いでは、3ヶ月程度の遅れは「登記をすることを怠った」とは見なされないようです。2週間以内という期限を厳密に守れなくても、可能な限り早く申請すればおおめに見てくれる場合が多いです。 「2週間ルール」を法務局が厳格に監視していると、どうしても実務が停滞する、という現実的な理由もあるかと思います。
しかしこの登記懈怠による過料が、絶対に課されることがないのかというとそれは間違いで、実際に過料通知が届いた例はあります。
①登記簿上、明らかに取締役の任期2年以内で、およそ10年間登記が行われていない場合。 会社法では、取締役の任期は2年、監査役は4年ですよね(正確な表現としては2年あるいは4年以内に終了する最終事業年度の定時株主総会終結時)。これが原則です。 そして株式の譲渡制限がある会社(いわゆる閉鎖会社)は、役員の任期を最長で10年まで延ばすことができます。しかし役員の任期は登記事項ではないので、登記簿を見ただけでは役員の任期はわかりません。だから登記官の目から見ると、閉鎖会社の場合、現在登記されている役員の任期が切れているのかいないのかは、わかりません。 会社設立時に添付された定款を見れば、任期ぐらい判るのではないか?と思われる方もいるかもしれませんが、1回1回の登記申請で添付書類になっていない限り、わざわざ過去の添付書類を登記官は確認しないですし、定款自体いつでも変更決議が可能であるため、確認してもあまり意味がないんですね。 だから閉鎖会社については、長い間(例えば7~8年)重任などの登記がなくても、任期10年として見ればまったく問題ないわけで、少なくとも就任から10年は過料にかかることはありません。 一方で登記上、株式の譲渡制限がない会社(公開会社)は、取締役の任期は最長でも2年ということは明らかですから、それを越えると過料にかかる可能性は大きくなります。 10年間登記をしていない公開会社で、およそ11万円の過料通知が届いた例があります。
②NPO法人で、毎年の資産の総額の変更登記を、5年間怠っていた場合。 NPO法人は、従来「資産の総額」が登記事項となっていて、この数額は常に変動するため、毎年変更登記を行う必要がありました。 この登記を、5年分(5回分)怠っていたNPO法人には、登記官からわざわざ連絡があり、「過料通知が出ますよ」と予告がありました(何万円になるかは教えてくれませんでした)。 ※特定非営利活動促進法が平成28年6月7日に一部改正、平成29年4月1日に施行されたことにより、NPO法人において、資産の総額が登記事項ではなくなったため、この変更登記は現在不要となっています。
このように、行うべき会社の登記を行っていない場合、思わぬ出費となることがあります。登記が必要かどうか判断にご不安がある場合は、専門家に相談して下さい。
24/05/16
24/04/25
24/04/07
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こんにちは。
司法書士海埜です。
会社の登記では、
「会社において…………変更が生じたときは、二週間以内に、その本店の所在地において、変更の登記をしなければならない」と定められています(会社法第915条1項)。会社の登記事項に変更があるときは、基本的には2週間以内に変更登記手続きを行う必要がある、ということです。
そしてもし2週間以内に登記しなかった場合には、過料の制裁があります。
会社法976条によれば「この法律の規定による登記をすることを怠ったとき」は「百万円以下の過料に処する」とされています。
実際に過料が課されることは少ない。
ところが実際には、例えば役員辞任の日から3ヶ月くらい経過したあとにその退任登記を申請した場合でも、過料通知が届くことはほぼありません。
現在の取扱いでは、3ヶ月程度の遅れは「登記をすることを怠った」とは見なされないようです。2週間以内という期限を厳密に守れなくても、可能な限り早く申請すればおおめに見てくれる場合が多いです。
「2週間ルール」を法務局が厳格に監視していると、どうしても実務が停滞する、という現実的な理由もあるかと思います。
過料通知が届く例
しかしこの登記懈怠による過料が、絶対に課されることがないのかというとそれは間違いで、実際に過料通知が届いた例はあります。
①登記簿上、明らかに取締役の任期2年以内で、およそ10年間登記が行われていない場合。
会社法では、取締役の任期は2年、監査役は4年ですよね(正確な表現としては2年あるいは4年以内に終了する最終事業年度の定時株主総会終結時)。これが原則です。
そして株式の譲渡制限がある会社(いわゆる閉鎖会社)は、役員の任期を最長で10年まで延ばすことができます。しかし役員の任期は登記事項ではないので、登記簿を見ただけでは役員の任期はわかりません。だから登記官の目から見ると、閉鎖会社の場合、現在登記されている役員の任期が切れているのかいないのかは、わかりません。
会社設立時に添付された定款を見れば、任期ぐらい判るのではないか?と思われる方もいるかもしれませんが、1回1回の登記申請で添付書類になっていない限り、わざわざ過去の添付書類を登記官は確認しないですし、定款自体いつでも変更決議が可能であるため、確認してもあまり意味がないんですね。
だから閉鎖会社については、長い間(例えば7~8年)重任などの登記がなくても、任期10年として見ればまったく問題ないわけで、少なくとも就任から10年は過料にかかることはありません。
一方で登記上、株式の譲渡制限がない会社(公開会社)は、取締役の任期は最長でも2年ということは明らかですから、それを越えると過料にかかる可能性は大きくなります。
10年間登記をしていない公開会社で、およそ11万円の過料通知が届いた例があります。
②NPO法人で、毎年の資産の総額の変更登記を、5年間怠っていた場合。
NPO法人は、従来「資産の総額」が登記事項となっていて、この数額は常に変動するため、毎年変更登記を行う必要がありました。
この登記を、5年分(5回分)怠っていたNPO法人には、登記官からわざわざ連絡があり、「過料通知が出ますよ」と予告がありました(何万円になるかは教えてくれませんでした)。
※特定非営利活動促進法が平成28年6月7日に一部改正、平成29年4月1日に施行されたことにより、NPO法人において、資産の総額が登記事項ではなくなったため、この変更登記は現在不要となっています。
このように、行うべき会社の登記を行っていない場合、思わぬ出費となることがあります。登記が必要かどうか判断にご不安がある場合は、専門家に相談して下さい。
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