遺言書の《付言事項》にはなにを書けばいい?

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遺言書の《付言事項》にはなにを書けばいい?

司法書士うみのブログ

2019/02/13 遺言書の《付言事項》にはなにを書けばいい?

 

こんにちは。
司法書士海埜です。
今日は遺言書のいわゆる「付言事項」について。

 

付言事項とは

付言事項は、遺言書の頭あるいは末尾に記載する、被相続人の「想い」の部分です。付言事項には、法的には拘束力はありませんが、葬儀のやり方、埋葬の仕方、臓器提供・献体希望はもちろん、家族への感謝なだも記載することが出来ます。
単に、財産の分配だけを記すより、読む側の印象は大きく違いますのでぜひ書いておくことをお勧めします。

 

 

書いておくと意外と役に立つ付言事項

例えば財産の分け方について、夫には遺留分相当しか与えず、他ははすべて娘達に遺すとします。
しかし、そのような遺言を書いただけでは、なぜそのような指定を行うのか??が長女に伝わらないばかりか、夫にも、最後の最後で信頼を損なうかのような誤解を与えてしまう可能性はあります。夫がすでに相当の財をなしている人物で娘を案じる必要があるとか、しっかり者の娘にぜひ財産を任せたいとか、分配の理由のところまで少し踏み込んで書いて頂くと宜しいかと思います。
また葬儀に関する事項は、生前に話し合って決めておくのがベストですが、家族での話し合いがない場合は遺言書に一言でも記載があれば、家族は困りません。
葬儀は、家族が短期間で決めなければならないことが多く、その苦労は想像を越えるものがあります。例えばどの範囲の人を何人くらい呼ぶのか、棺のランク、霊柩車の種類、戒名の格、祭壇は白木にするのか、食事の内容はどうするかなどなど、いちいちご家族が選択していかなければなりません。そういった状況のなかで遺言書の中に一文でも、「葬儀は家族葬で」「質素に」「骨は●●家の墓に」などの指定があれば、それがご家族にとって拠り所となります。
付言事項は、ご家族への優しさでもあるのです。

 

家族の対立を助長する付言事項

しかしあまりに詳細な気持ちの動きを書くと、却って反発を招く場合もあるので、そのバランスは大事です。
例えばお嫁さんに長い間介護してもらったことについて、深い感謝の意を長めに書いたうえで、お嫁さんへの遺贈を行うといった場合、介護を手伝わなかった他の兄弟姉妹とその配偶者の感情を害してしまうといったことは実際にあります。
また、子に恵まれず親の介護に明け暮れていた姉と、こどもの受験などで介護に非協力的であった妹との不和を、遺言書が却って助長するケースもありました。

遺言書は法的な文書ですが、「お手紙」としての側面もありますので、このあたりのバランスを見ながら完成させると良いでしょう。

 

 

 

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