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「農地を贈与したい。」税金と年金への影響。
こんにちは。
司法書士海埜です。
農地関連の記事が続いたので、ついでにと言ってはなんですが、東京以外の地域からご相談が多い「農地の贈与」について、おもに税金関係をまとめておきたいと思います。
(税制は頻繁に変更されますので、必要な場合はご自身でも確認されることをおすすめ致します。)
前回まで⏬
【農地の信託登記。農業委員会の許可・届出】
【農地法の現状】
農地を贈与した場合の税金といえば、言わずもがな贈与税があります。
暦年課税:その年の1月1日から12月31日までに贈与を受けた財産(お金や不動産、株式など全てを合算)が基礎控除額(110万円)を超えた場合に贈与税が課せられます。 計算式は【贈与税額= 贈与する財産の合計金額-110万円 ×税率-税額ごとの控除】 例えば両親からそれぞれ200万円ずつ贈与を受けた場合はどうなるかというと… 400万円-110万円×20%-25万円となり、納税しなければならない贈与税は33万円となります。
農地の場合固定資産税評価額は、政策的に低く抑えられています。この理由は、農地は一定規模の面積がなければ、当然生産が期待できないため、細分化することができず広大になりますよね。この広大な土地に、標準の平米単価をあてはめると、固定資産税などが高額となり、農地の維持がままならないからなのです。
一方で、贈与税を計算するための評価額は、「路線価図」によって算定されます。評価額と路線価の差は、5倍~20倍と大きく触れ幅がありますので、評価額は(贈与税に関しては)あまり参考になりません。
相続税をできるだけ軽くするための手段として、相続時精算課税制度があります。
《相続時精算課税制度の概要・要件》 1 対象となる贈与…親から子・孫への贈与 2 年齢の制限 贈与者(親)…贈与する年の1月1日時点での満年齢が60歳以上。 受贈者(子・孫)…贈与を受ける年の1月1日時点での満年齢が20歳以上。 3 2,500万円まで贈与税が課税されない。 →ただし、親(贈与者)が死亡した時には、贈与した財産が相続税の算定の際に合算され、相続税で精算されるので、免税される制度ではありません。 4 適用の届出時期:贈与があった次の年の2月1日から3月15日までの間 所轄:納税地を所轄する税務署 届出:相続税精算課税の適用を受ける旨の届出 →ただし、相続時精算課税の適用を受けると暦年課税の適用は受けられなくなります。
また農業後継者が農地等の贈与を受けた場合の納税猶予の特例もあります。 農業を営んでいる贈与者が、農業の用に供している農地の全部並びに採草放牧地及び準農地の一定部分をその農業を引き継ぐ推定相続人の1人に贈与した場合においては、その贈与を受けた農地等について受贈者が農業を営んでいる限り、受贈者に課税される贈与税の納税が猶予されるという制度です。
《特例の要件と手続》 〔要件〕 1 贈与時に、贈与者・受贈者とも3年以上農業の経営・従事していること 2 贈与時に、受贈者が18歳以上で、かつ、贈与者の推定相続人であること 3 この贈与により、受贈者が農業経営権も取得すると認められること →ただし、この納税猶予の特例と相続時精算課税を同時に受けることはできません。 〔手続き〕 ・贈与税の申告手続 →税務署に贈与税の申告書を提出するとともに農地等納税猶予税額及び利子税の額に見合う担保を提供する。 ・納税猶予期間中の継続届出 →納税猶予期間中は贈与税の申告期限から3年目ごとに、引き続いてこの特例の適用を受ける旨の届出を税務署に提出する。 ・納税猶予の特例を受けた場合であっても、次の場合に該当するときは、農地等納税猶予税額を納付しなければならない。 ①特例農地(対象の農地)を譲渡した場合、及び使用収益権を設定した場合 ②特例農地に関し、農業経営を廃止した場合 ③受贈者が贈与者の推定相続人でなくなった場合(たとえば、養子に贈与した後離縁した場合など) ④継続届出を行わなかった場合(3年ごとに届出をする) ⑤耕作放棄した場合
他に気を付けるべき点として農業者年金があります。 農業者年金とは、個人事業主である農業者が国民年金に追加して任意に加入することができる年金基金です。農業者年金は、次のとおり3本立てです。 ①農業老齢年金:65歳以上(60歳まで繰り下げ可能)になると支給されるもの。 ②特例付加年金:保険料を20年以上納付した加入者が65歳以上(60歳まで繰り 下げ可能)になり、かつ、農業の経営者でなくなった時から支給されるもの。 ③死亡一時金:加入者が80歳未満で死亡した場合、加入者の遺族に対して支給されるもの。
この中でも、特例付加年金は、次の場合に該当すると支給が停止してしまうのです。 ①受給権者が農業の経営者になったとき。 ②後継者に移転又は使用させている農地を、後継者が適切に管理しない場合(耕作放棄や農地以外に転用した場合など) ③後継者に移転又は使用させている農地の返還を受けた後、1年以内に処分しない場合、農地以外に転用した場合、耕作放棄して指導を受けた場合
だから、もし後継者が農地を継いだものの、不動産屋の勧めで売却したりすると、年金が止まる場合もあるということです。
以上、調べられる範囲でまとめてみましたが、具体的な贈与税試算などが必要な方は、事前に必ず税理士に相談して下さいね。
24/05/16
24/04/25
24/04/07
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こんにちは。
司法書士海埜です。
農地関連の記事が続いたので、ついでにと言ってはなんですが、東京以外の地域からご相談が多い「農地の贈与」について、おもに税金関係をまとめておきたいと思います。
(税制は頻繁に変更されますので、必要な場合はご自身でも確認されることをおすすめ致します。)
前回まで⏬
【農地の信託登記。農業委員会の許可・届出】
【農地法の現状】
農地の贈与税
農地を贈与した場合の税金といえば、言わずもがな贈与税があります。
贈与税の基本的仕組み
暦年課税:その年の1月1日から12月31日までに贈与を受けた財産(お金や不動産、株式など全てを合算)が基礎控除額(110万円)を超えた場合に贈与税が課せられます。
計算式は【贈与税額= 贈与する財産の合計金額-110万円 ×税率-税額ごとの控除】
例えば両親からそれぞれ200万円ずつ贈与を受けた場合はどうなるかというと…
400万円-110万円×20%-25万円となり、納税しなければならない贈与税は33万円となります。
農地の評価額と贈与税対策
農地の場合固定資産税評価額は、政策的に低く抑えられています。この理由は、農地は一定規模の面積がなければ、当然生産が期待できないため、細分化することができず広大になりますよね。この広大な土地に、標準の平米単価をあてはめると、固定資産税などが高額となり、農地の維持がままならないからなのです。
一方で、贈与税を計算するための評価額は、「路線価図」によって算定されます。評価額と路線価の差は、5倍~20倍と大きく触れ幅がありますので、評価額は(贈与税に関しては)あまり参考になりません。
相続税をできるだけ軽くするための手段として、相続時精算課税制度があります。
《相続時精算課税制度の概要・要件》
1 対象となる贈与…親から子・孫への贈与
2 年齢の制限
贈与者(親)…贈与する年の1月1日時点での満年齢が60歳以上。
受贈者(子・孫)…贈与を受ける年の1月1日時点での満年齢が20歳以上。
3 2,500万円まで贈与税が課税されない。
→ただし、親(贈与者)が死亡した時には、贈与した財産が相続税の算定の際に合算され、相続税で精算されるので、免税される制度ではありません。
4 適用の届出時期:贈与があった次の年の2月1日から3月15日までの間
所轄:納税地を所轄する税務署
届出:相続税精算課税の適用を受ける旨の届出
→ただし、相続時精算課税の適用を受けると暦年課税の適用は受けられなくなります。
また農業後継者が農地等の贈与を受けた場合の納税猶予の特例もあります。
農業を営んでいる贈与者が、農業の用に供している農地の全部並びに採草放牧地及び準農地の一定部分をその農業を引き継ぐ推定相続人の1人に贈与した場合においては、その贈与を受けた農地等について受贈者が農業を営んでいる限り、受贈者に課税される贈与税の納税が猶予されるという制度です。
《特例の要件と手続》
〔要件〕
1 贈与時に、贈与者・受贈者とも3年以上農業の経営・従事していること
2 贈与時に、受贈者が18歳以上で、かつ、贈与者の推定相続人であること
3 この贈与により、受贈者が農業経営権も取得すると認められること
→ただし、この納税猶予の特例と相続時精算課税を同時に受けることはできません。
〔手続き〕
・贈与税の申告手続
→税務署に贈与税の申告書を提出するとともに農地等納税猶予税額及び利子税の額に見合う担保を提供する。
・納税猶予期間中の継続届出
→納税猶予期間中は贈与税の申告期限から3年目ごとに、引き続いてこの特例の適用を受ける旨の届出を税務署に提出する。
・納税猶予の特例を受けた場合であっても、次の場合に該当するときは、農地等納税猶予税額を納付しなければならない。
①特例農地(対象の農地)を譲渡した場合、及び使用収益権を設定した場合
②特例農地に関し、農業経営を廃止した場合
③受贈者が贈与者の推定相続人でなくなった場合(たとえば、養子に贈与した後離縁した場合など)
④継続届出を行わなかった場合(3年ごとに届出をする)
⑤耕作放棄した場合
農業者年金について
他に気を付けるべき点として農業者年金があります。
農業者年金とは、個人事業主である農業者が国民年金に追加して任意に加入することができる年金基金です。農業者年金は、次のとおり3本立てです。
①農業老齢年金:65歳以上(60歳まで繰り下げ可能)になると支給されるもの。
②特例付加年金:保険料を20年以上納付した加入者が65歳以上(60歳まで繰り
下げ可能)になり、かつ、農業の経営者でなくなった時から支給されるもの。
③死亡一時金:加入者が80歳未満で死亡した場合、加入者の遺族に対して支給されるもの。
この中でも、特例付加年金は、次の場合に該当すると支給が停止してしまうのです。
①受給権者が農業の経営者になったとき。
②後継者に移転又は使用させている農地を、後継者が適切に管理しない場合(耕作放棄や農地以外に転用した場合など)
③後継者に移転又は使用させている農地の返還を受けた後、1年以内に処分しない場合、農地以外に転用した場合、耕作放棄して指導を受けた場合
だから、もし後継者が農地を継いだものの、不動産屋の勧めで売却したりすると、年金が止まる場合もあるということです。
以上、調べられる範囲でまとめてみましたが、具体的な贈与税試算などが必要な方は、事前に必ず税理士に相談して下さいね。
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