農地法の現状。農業への法人参入はむずかしい?

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農地法の現状。農業への法人参入はむずかしい?

司法書士うみのブログ

2019/01/20 農地法の現状。農業への法人参入はむずかしい?

こんにちは。
司法書士海埜です、

こちらの続きで、農地法の調べものをしたついでもあり、今日は農地法について書いてみようと思います。⏬
農地の信託登記。農業委員会の許可・届出】

 

農地法はなぜあるか

地方都市では、農地法さえなければ……もっと不動産取引がスムーズなのに……という場面が多いかと思います。
農地法の趣旨というのは、主に次の①②で、実は国家レベルで超重要な法律なのです。
①食料自給率を上げる
②耕作放棄地、遊休地を出さない

 

しかし、農地法の施行から60年以上経過した現在、①②の目的は達成されるどころか、真逆の状況が発生しているのが実体ですよね。
食料自給率は、他の国に比べて低いですし、耕作放棄地は増えています。

 

農業従事者の高齢化による影響

農地法で国がやろうとしていたことは、能力がない人に農地が渡るのを防ぎ、なおかつ、農業に従事する人の社会的地位の安定を図ることによって、①②を達成することでした。より生産性の高い農地を、より生産能力の高い人に耕作してもらえれば、上記の目的を達成できるはずでした。

 

しかしその目論見は外れてしまいました。
1つの理由としては、農業従事者の高齢化があります。高齢となり、自分では作業が難しい状況で、
他人に貸そうにも、「農業は儲からない」と言われる中で積極的に農地を貸してほしいという者はなかなか現れません。
また高齢化した農業従事者が亡くなると、相続人が農地を相続しますが
そもそも相続人は農業に携わっていないことが多いので、耕作のやり方がまったく分からないということになります。
結局、耕作放棄地は増えていきます。

 

農地の相続税優遇は措置あるが…

たとえ相続があっても、生産性の高い農地では農業を続けてほしいという意図で、相続税の納税猶予の特例が定められています。
この特例では、相続人が農業を続けることを前提に、一定額(農業投資価格に基づいて計算した相続税額)以外の部分について相続税の納税を猶予・免除しています。農業を継続しているとそのまま免除されることがほとんどです。
しかし、この施策によっても、農地が相続人に引き継がれない場合も多いのです。

 

 

打開策。法人の農業参入

農地法は、平成21年に大改正されました。法人が参入しやすくなりました。
しかしやはり、誰でもが気軽に参入できるとすると困ったことが起こります。安易に参入して「やっぱり利益にならないので止めます」では、却って耕作放棄地が増えてしまいますよね。
すると例えば、一部の田んぼが荒れ果てて、隣接する田んぼの日照が雑草で遮られたり、害虫が発生して飛び火したりということがあり得ます。

以前、弊所で設立をお手伝いした一般社団法人で、農業を事業目的とする会社さんがありましたが、利益が立たず休眠状態となりました。

農業を知らない人(法人も含めて)が農業や農業関連のビジネスを始めることに、やはりハードルがあるのかな、と素人考えで思った次第です。

 

 

 

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