受託者になれない人

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司法書士うみのブログ

2018/11/15 受託者になれない人

 

こんにちは。

司法書士海埜です。

家族信託は、基本的には家族・親族の中で財産を信託する契約なので、多くの場合、受託者には委託者の子が就任します。

しかし、子供がいない場合や、いてもいろいろな事情で受託者になれないケースがあります。

受託者には、誰でもなれるわけではなく、いくつかの制限がありますので、今回は受託者になれない人についてまとめてみました。

 

法律上当然に受託者になれない者

信託法第7条では、「未成年者又は成年被後見人若しくは被保佐人は、受託者となることができない。」と定められています。

したがって、これらの者を受託者として設定された家族信託契約は、絶対的に無効です。

信託がされた後に、受託者が成年被後見人や被保佐人となった場合には、受託者としての任務が終了し、原則として、新たな受託者が選任されることになります(信託法第56条第1項第2号)。

 

 

司法書士や、その他の専門職は受託者になれるか?

受託者にふさわしい親族がいない場合、信頼する司法書士や、普段からお世話になっているケアマネジャーなどに、受託者をお願いしたいと考える委託者も中にはいます。

このような高齢者に関わる専門職が受託者になることはできるのでしょうか?

信託業法第3条、第7条第1項では、「業として信託の引受けを行う場合には、信託業法所定の免許又は登録が必要となる」と定められています。

したがって、この免許登録を受けていない、司法書士や弁護士、ケアマネジャー、社会福祉士などが受託者となることはできないという考え方が主流です。

 

ただ一方で、この「業として」という文言を限定して捉えることによって、専門職の受託者就任を可とする説を唱える人もいます。

つまり「業として」というのは法学の世界では通常「営利目的で、反復継続して」という意味で使われているところ、特定の人から、頼まれてやむを得ず受託者を引き受ける場合は「業として」受任したことにはならないだろうというのです。

 

そもそも法が、受託者になるために「信託業法所定の免許又は登録が必要」と定めている趣旨は何でしょうか。

それは不特定多数の人から多額の資金を集めて運用する信託会社は、誰の目から見てもしっかりしている必要があるため、一定の基準を設けているという点ですね。

その基準というのがまさに「信託業法所定の免許又は登録」なのです。だから信託業法の規定は、不特定多数を相手にした商事信託を前提としたものとも言えます。そのように捉えると、商事信託とは全く別物である民事信託においては、信託業法の縛りはないと筋立てることは可能かもしれません。

 

しかし現段階では、信託法、信託業法ともに、商事信託と民事信託を区別することなく、単に「信託」として立法されていることから、上記のような解釈はややこじつけというか、都合のいい考え方と指摘される可能性はありますよね。

次回の信託法改正がいつになるのかわかりませんが、今の段階では、専門職は基本的には受託者になれないと考えるべきなのでしょう。

 

 

 

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