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家族信託契約書のひな形~現金のみ福祉型信託。
こんにちは。
司法書士海埜です。
雛形はありますか?というお問い合わせを頂きました。
「有効な相続税対策を行っていきたい」「孫の将来の養育費を確保したい」「実家の親の財産を平等に分けたい」「親の介護費用を捻出したい」など、どのような目的で信託を用いるのかは、ご家族ごとに異なります。
またご家族の年齢、家族構成、頼れる親戚がいるか、家族のメンバーが抱えている思いも、当然各家庭で違います。
家族信託はこのような違いを勘案し、各家庭の実情を契約書に反映させる手続きと言えます。
さらに将来予測される当事者の死亡等に備え、柔軟に契約内容を変更できるように手を加えることも致します。
いわばオーダーメイドの財産管理方法なのです。
従って、「これにあてはめれば良い」といった契約書のひな形は一概には作れず、弊事務所のホームページでは掲載しておりません。
ただ高齢者等の生活を末長く守るために用いられる福祉型信託では、「家族内の弱者の財産を守る」という目的が、どのご家族でもある程度共通しているため、おおまかな契約書の概要を下記に掲載致しました。
ご自身のご家庭で使えるか、検討なさってはいかがでしょうか?
下記の契約書は、高齢のA氏が、ご自身と妻B様を受益者とし、親族にまとまった預貯金を信託する場合を想定しています。
(契約の趣旨)
(定義)
第2条 本書において「信託財産」とは、受託者に属する財産であって、信託により管理又は処分をすべき一切の財産をいう。
2「委託者」とは、信託法第三条各号に掲げる方法により信託をする者をいう。
3「受託者」とは、信託行為の定めに従い、信託財産に属する財産の管理又は処分及びその他の信託の目的の達成のために必要な行為をすべき義務を負う者をいう。
4「受益者」とは、受益権を有する者をいう。
5「受益権」とは、信託行為に基づいて受託者が受益者に対し負う債務であって信託財産に属する財産の引渡しその他の信託財産に係る給付をすべきものに係る債権(以下「受益債権」という。)及びこれを確保するためにこの法律の規定に基づいて受託者その他の者に対し一定の行為を求めることができる権利をいう。
6「固有財産」とは、受託者に属する財産であって、信託財産に属する財産でない一切の財産をいう。
7「清算受託者」とは、信託の清算のために必要な一切の行為をする権限を有する者をいう。
(信託の目的)
第3条 本件信託は、次条記載の財産を信託財産として管理、運用及び処分を行い、受益者に生活、 介護、 療養、 納税等に必要な資金及び医療費、 施設利用費等を給付し、 受益者の幸福な生活及び福祉を確保するとともに、将来の資産の円滑な承継を実現することを目的とする。
(信託財産)
第4条 本件信託の信託財産は、 次に掲げるもの(他に、信託法その他法令で信託財産に属するものとされる財産を含む。)とする。
現金○○万円
(受託者)
第5条 本件信託の受託者は、次の者とする。
住 所
受託者氏名
生 年 月 日
職 業
(第二受託者の定め)
第6条 信託法第56条第1項各号に掲げる事由により、前条の受託者の任務が終了したときは、次の者を新たな受託者とする。
(信託の期間)
第7条 信託期間は、次の各事由が発生したときまでとする。
(1) 受益者が死亡したとき
(2) 信託財産が消滅したとき
(受益者)
第8条 本件信託の受益者は、次の者とする。但し受益権割合は、一対一とする。
受益者氏名 A
受益者氏名 B
2 受益者の一方が死亡した場合は、その者の受益権は消滅し、生存している受益者が新たに二分の一の受益権を取得する。
(信託の内容)
第9条 受託者は、次の各号に定めるとおり、信託財産を管理、 運用及び処分する。
(1) 信託金銭について、受託者の固有財産とは分別して、信託口口座又は専用口座の預貯金として管理する。また、第4条第2項に基づき追加信託された金銭とそれ以外の信託金銭とは、互いに区分することができるよう管理する。
(2) 受託者は、信託事務に伴い発生する切の諸経費及び受益権の履行の資金を第三者から借り入れることができる。
(3) 受託者は、信託事務を処理するのに必要と認められる費用を固有財産から支出(以下「立替払」という。)した場合には、信託財産から償還を受けることができる。また、受託者は、立替払の都度、別途受益者との合意により、受益者から償還又は費用の前払を受けることができる。
(4) 受託者は、信託事務の部又は全部を第三者に委託することができ、委託者はその選任を受託者に一任する。
2 受託者は、受益者の要望を聞き、信託金銭から受託者が相当と認める受益者の生活、介護、療養、納税等に必要な費用を受益者に給付し、また、受益者の医療費、施設利用費等を支払う。
(管理に必要な事項)
第10条 受託者は、善良なる管理者の注意義務をもって、信託財産の管理、運用及び処分を行うものとする。
2 受託者は、本件信託開始後速やかに、信託財産に関する信託財産目録及び次の事項を記載した帳簿等を作成し、信託期間中は適時これを更新するとともに、いつでも受益者の請求に応じて閲覧に供することができるよう保管する。
(1)信託財産から発生する果実の収受状況
(2)信託財産につき行った措置
(3)信託事務に関する経費の支出状況
3受託者は、毎年1回、〇月末日現在における信託財産の内容及び信託事務の処理状況を受益者に報告するものとする。また、受益者の請求があるときは、いつでも速やかにその求められた事項につき報告する。
4 本信託契約に定めのない事項は、委託者と受託者との合意により定めるほか、信託法その他の法令に定めるところに従う。
(信託の変更)
第11条 受託者は、受益者との合意により、本件信託の内容を変更し、一部解除し又は終了させることができる。ただし、信託の目的に反しないこと及び受益者の利益を害しないことが明らかなときは、受託者が単独で本件信託の内容を変更することができる。
(受益権の譲渡・質入れ)
第12条 本件信託の受益権は、譲渡し又は質入れその他の担保に供することができない。
(受益証券)
第13条 本件信託の受益権については、受益証券を発行しない。
(清算事務)
第14条 委託者及び受託者は、本件信託終了時の受託者を清算受託者とする。
2 清算受託者は、本件信託の清算事務を行うに当たっては、本信託契約の条項及び信託法その他の法令に従って事務手続を行うものとする。
(帰属権利者)
第15条 本件信託終了時の残余の信託財産(第4条第2項に基づき追加信託された金銭にかかる残余財産を除く)は○○○○に帰属させる。但し、本件信託終了以前に同人が死亡した場合は、委託者の相続人に帰属させる。
2 第4条第2項に基づき追加信託された金銭にかかる残余財産は、委託者の相続人に帰属させる。
3 前2項の残余財産について、委託者死亡以外の事由により本件信託が終了した場合には、残余の信託財産は、○○○○に帰属する。
24/05/16
24/04/25
24/04/07
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こんにちは。
司法書士海埜です。
雛形はありますか?というお問い合わせを頂きました。
「有効な相続税対策を行っていきたい」「孫の将来の養育費を確保したい」「実家の親の財産を平等に分けたい」「親の介護費用を捻出したい」など、どのような目的で信託を用いるのかは、ご家族ごとに異なります。
またご家族の年齢、家族構成、頼れる親戚がいるか、家族のメンバーが抱えている思いも、当然各家庭で違います。
家族信託はこのような違いを勘案し、各家庭の実情を契約書に反映させる手続きと言えます。
さらに将来予測される当事者の死亡等に備え、柔軟に契約内容を変更できるように手を加えることも致します。
いわばオーダーメイドの財産管理方法なのです。
従って、「これにあてはめれば良い」といった契約書のひな形は一概には作れず、弊事務所のホームページでは掲載しておりません。
ただ高齢者等の生活を末長く守るために用いられる福祉型信託では、「家族内の弱者の財産を守る」という目的が、どのご家族でもある程度共通しているため、おおまかな契約書の概要を下記に掲載致しました。
ご自身のご家庭で使えるか、検討なさってはいかがでしょうか?
下記の契約書は、高齢のA氏が、ご自身と妻B様を受益者とし、親族にまとまった預貯金を信託する場合を想定しています。
(契約の趣旨)
(定義)
第2条 本書において「信託財産」とは、受託者に属する財産であって、信託により管理又は処分をすべき一切の財産をいう。
2「委託者」とは、信託法第三条各号に掲げる方法により信託をする者をいう。
3「受託者」とは、信託行為の定めに従い、信託財産に属する財産の管理又は処分及びその他の信託の目的の達成のために必要な行為をすべき義務を負う者をいう。
4「受益者」とは、受益権を有する者をいう。
5「受益権」とは、信託行為に基づいて受託者が受益者に対し負う債務であって信託財産に属する財産の引渡しその他の信託財産に係る給付をすべきものに係る債権(以下「受益債権」という。)及びこれを確保するためにこの法律の規定に基づいて受託者その他の者に対し一定の行為を求めることができる権利をいう。
6「固有財産」とは、受託者に属する財産であって、信託財産に属する財産でない一切の財産をいう。
7「清算受託者」とは、信託の清算のために必要な一切の行為をする権限を有する者をいう。
(信託の目的)
第3条 本件信託は、次条記載の財産を信託財産として管理、運用及び処分を行い、受益者に生活、 介護、 療養、 納税等に必要な資金及び医療費、 施設利用費等を給付し、 受益者の幸福な生活及び福祉を確保するとともに、将来の資産の円滑な承継を実現することを目的とする。
(信託財産)
第4条 本件信託の信託財産は、 次に掲げるもの(他に、信託法その他法令で信託財産に属するものとされる財産を含む。)とする。
現金○○万円
(受託者)
第5条 本件信託の受託者は、次の者とする。
住 所
受託者氏名
生 年 月 日
職 業
(第二受託者の定め)
第6条 信託法第56条第1項各号に掲げる事由により、前条の受託者の任務が終了したときは、次の者を新たな受託者とする。
住 所
受託者氏名
生 年 月 日
職 業
(信託の期間)
第7条 信託期間は、次の各事由が発生したときまでとする。
(1) 受益者が死亡したとき
(2) 信託財産が消滅したとき
(受益者)
第8条 本件信託の受益者は、次の者とする。但し受益権割合は、一対一とする。
住 所
受益者氏名 A
住 所
受益者氏名 B
2 受益者の一方が死亡した場合は、その者の受益権は消滅し、生存している受益者が新たに二分の一の受益権を取得する。
(信託の内容)
第9条 受託者は、次の各号に定めるとおり、信託財産を管理、 運用及び処分する。
(1) 信託金銭について、受託者の固有財産とは分別して、信託口口座又は専用口座の預貯金として管理する。また、第4条第2項に基づき追加信託された金銭とそれ以外の信託金銭とは、互いに区分することができるよう管理する。
(2) 受託者は、信託事務に伴い発生する切の諸経費及び受益権の履行の資金を第三者から借り入れることができる。
(3) 受託者は、信託事務を処理するのに必要と認められる費用を固有財産から支出(以下「立替払」という。)した場合には、信託財産から償還を受けることができる。また、受託者は、立替払の都度、別途受益者との合意により、受益者から償還又は費用の前払を受けることができる。
(4) 受託者は、信託事務の部又は全部を第三者に委託することができ、委託者はその選任を受託者に一任する。
2 受託者は、受益者の要望を聞き、信託金銭から受託者が相当と認める受益者の生活、介護、療養、納税等に必要な費用を受益者に給付し、また、受益者の医療費、施設利用費等を支払う。
(管理に必要な事項)
第10条 受託者は、善良なる管理者の注意義務をもって、信託財産の管理、運用及び処分を行うものとする。
2 受託者は、本件信託開始後速やかに、信託財産に関する信託財産目録及び次の事項を記載した帳簿等を作成し、信託期間中は適時これを更新するとともに、いつでも受益者の請求に応じて閲覧に供することができるよう保管する。
(1)信託財産から発生する果実の収受状況
(2)信託財産につき行った措置
(3)信託事務に関する経費の支出状況
3受託者は、毎年1回、〇月末日現在における信託財産の内容及び信託事務の処理状況を受益者に報告するものとする。また、受益者の請求があるときは、いつでも速やかにその求められた事項につき報告する。
4 本信託契約に定めのない事項は、委託者と受託者との合意により定めるほか、信託法その他の法令に定めるところに従う。
(信託の変更)
第11条 受託者は、受益者との合意により、本件信託の内容を変更し、一部解除し又は終了させることができる。ただし、信託の目的に反しないこと及び受益者の利益を害しないことが明らかなときは、受託者が単独で本件信託の内容を変更することができる。
(受益権の譲渡・質入れ)
第12条 本件信託の受益権は、譲渡し又は質入れその他の担保に供することができない。
(受益証券)
第13条 本件信託の受益権については、受益証券を発行しない。
(清算事務)
第14条 委託者及び受託者は、本件信託終了時の受託者を清算受託者とする。
2 清算受託者は、本件信託の清算事務を行うに当たっては、本信託契約の条項及び信託法その他の法令に従って事務手続を行うものとする。
(帰属権利者)
第15条 本件信託終了時の残余の信託財産(第4条第2項に基づき追加信託された金銭にかかる残余財産を除く)は○○○○に帰属させる。但し、本件信託終了以前に同人が死亡した場合は、委託者の相続人に帰属させる。
2 第4条第2項に基づき追加信託された金銭にかかる残余財産は、委託者の相続人に帰属させる。
3 前2項の残余財産について、委託者死亡以外の事由により本件信託が終了した場合には、残余の信託財産は、○○○○に帰属する。
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