この方は、弊社が成年後見人に就任した時には、精神病院に入院していました。認知症が進んで、事実の誤認や、通帳の紛失、モノを盗られた(あるいは盗られるのではないかという疑心暗鬼)、こういった事実の積み重ねによる人間関係のトラブル、外出先での迷子などなどによって、緊急入院となったそうです。
病状が落ち着いたので退院することにはなりましたが、問題は退院したあとのお住まいです。
症状が回復したとは言っても、投薬によって感情が抑えられているというだけで、薬を飲まなくなればまた元に戻ってしまうので、どうしても薬を飲ませ続けなければまたご近所トラブルになります。
なので後見人としては、投薬管理できる老人ホームが適切と考えて、その手配を考えました。
ご本人に施設のお話ししたところ、最初のうちは「いいわね~」と同意していたのですが、数日後にどういうわけか風向きが変わって「施設なんか絶対行きたくない。自宅に戻りたい。元気なのにどうして戻れないの?」という態度になってしまいました。
説得が難しいため、医師のほうから、ヘルパーなど介護サービスをフルに利用して一人暮らしを再開させてはどうか?という提案があり、
試しに介護タクシーでお連れして、1時間だけ自宅で過ごしてみました。
ですがやはり1時間後には、病院に戻ることも忘れてしまい、ケアマネージャーやヘルパーを強くなじる様子が見られ、ご自宅に戻っても介護サービスを受け入れることが難しいのかなとお見受けしました。
本人の認識としては、「自分は元気である」「一人でなんでもできるから、自宅に誰も入れる必要がないし、誰も入れたくない」という感じなのです。
確かに体は頑丈でパワーもあるので、机などの家具を移動させたり、米を研ぐなどの家事はできます。
ですがものの在処をすぐに忘れてしまう、出かけた先で迷子になる、お金を取られたという妄想を抱きがち、という部分は投薬によっても良くなるものではなく、やはり一人暮らしは困難であると言わざるをえません。
決して本意ではないのは理解しつつ、適切な施設をお探しすることにしています。
司法書士法人海埜事務所
住所:東京都調布市布田3-19-9
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