謎に賃料をうけとらない相続人。

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謎に賃料をうけとらない相続人。

司法書士うみのブログ

2020/10/14 謎に賃料をうけとらない相続人。

 

こんにちは

司法書士海埜です。

前回に引き続き、遺言執行者についてです。

前回の記事はこちら→遺言執行者という謎の存在

 

ある人が遺言書を遺して死亡し、その遺言書のなかで遺言執行者を専任しているとしますよね。

相続人は、A、B、Cの3人です。

遺言書によれば、収益物件はAに相続させるとされています。

遺留分とかいろいろな事情を考えなければ、この収益物件は普通にAに移転しますよね。

 

 

以下は、実際に私自身が困ってしまった件です。

Aが、「物件は相続するけど、その家賃収入は要らない」と言い出しました。

この発言に、私も他の相続人も「?」となりました。

Aとしては、せっかく親が遺してくれたものだし、ありがたく相続はするけれども、他の相続人の手前、お金を欲しがっていると思われたくないし、また実際に金銭など欲しないのだ、と言いたかったようなのです。遺言書にはっきりと「家賃収入もAに」と記載がない以上は、自分としては受け取れないと、そういう言い方です。

 

 

しかしBとCからすると、所有権者であるAが家賃収入を受け取らないのはいかにも不自然なことで、ひょっとしてAは遺言書の内容に不服なのではないか?という疑問を発したわけです。

(もともと、Aは人あたりが強く、兄弟のあいだでは話しにくい存在だったようです。)

 

 

私としても、これはちょっと理解を越えることでした。

例えば遺言書に「賃貸マンションAは長男が、賃貸マンションBは次男が相続する。」と記載されていて遺言書が有効なものである場合、賃料収入の受取人は、賃貸マンションA=長男、賃貸マンションB=次男となります。

また判例で「賃貸人たる地位の移転」ということが普通に認められていることから(これは売買の判例ですが)、当然、賃料もAが受け取ってしかるべきだと考えていたのです。

所有権者であるAが、当該物件から将来発生する家賃収入を受け取らないのでは、それはAとBとCが受け取ることになるのか、それはそれで、税務的に贈与の扱いになるのではないか、ということも懸念されました。

確かに、遺言書がない場合で、遺産分割協議が成立するまでの賃料収入を共同相続とする判例はあります(平成17年9月8日の最高裁判決)。しかしこれはあくまで遺言書がない場合の理屈ですよね。

 

 

私は遺言執行者である以上は、Aが賃料収入を受け取るかたちに持っていきたいと考えて説明を試み、そして相続人間でその点を確認する作業を行いました。遺言執行者というのが、そこまでやる義務があるのかというのはちょっと思いました。

(振込口座を変更する段取りはなどはご本人らにお任せしました。)

あるいは場合によっては遺言と異なる遺産分割をやってもらっても良かったのかもしれませんが。

 

 

 

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