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遺言執行者という謎の存在。
こんにちは。
司法書士海埜です。
遺言執行者に就任する事案が、ぽつぽつと発生しています。
以前、大きな司法書士事務所(いわゆる決済事務所)に勤めていたころは、遺言執行者がいったい何者であるのか、よくわかっていませんでした。
そういったお仕事をそもそも事務所として受任していなかったです。
もちろん試験科目の民法に入っている部分なので、条文知識としてなんとなく持ってはいるものの。。。、という状況でした。
実際に遺言執行のお仕事にあたってみると、民法の書き方もフワッとしていて、どこまでのことをやらなければならないのか、また、やっていいのかということが、自分の中でやはりはっきり整理し切れていなかったのです。
今回相続登記の関係で、ご質問を頂いたので掲載しておきます。
「遺言執行者から司法書士へ委任する内容の委任状をもって、相続登記できるか」というご質問です。
従前の登記の取り扱い
最判平成7年1/24で、「特定の不動産を特定の相続人Aに相続させる旨の遺言により、Aが被相続人の死亡とともに相続により当該不動産の所有権を取得した場合には、Aが単独でその旨の所有権移転登記手続きをすることができ、遺言執行者は、遺言の執行として右の登記手続きをする義務を負うものではない(またその権利も有しない)」とされていました。
なので、遺言執行者からの司法書士への委任状があっても、それでは相続登記ができず、あくまで相続人本人からの委任状が必要という結論になります。
しかし直近の改正民法では、第1014条第4項で、遺言執行者は対抗要件を備えるために必要な行為ができるとされました。
これはなぜかというと、第899条の2第1項で、相続による権利の承継にあっては、法定相続分を越える部分については対抗要件なくして第三者に対抗できないと明確にされ、相続開始後早急に登記を備えるべき要請が高まったからです。この改正にともなって、遺言執行者の登記申請権限が認められるということになります。
ただここで気を付けなければならない点は、民法改正前に作成された遺言書においては、やはり従前の取り扱いによる、という点です。
もっと正確に言うと、新民法施行日である令和元年7月1日前に、遺言書作成が行われている場合は、遺言執行者に登記申請権限はないです。
このことは、民法の一部改正に伴う経過措置の原則を規定する改正法附則第2条によります。
遺言執行者の実務については、ほかにも謎な部分がありますので、後日アップしたいと思います。
24/05/16
24/04/25
24/04/07
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こんにちは。
司法書士海埜です。
遺言執行者に就任する事案が、ぽつぽつと発生しています。
以前、大きな司法書士事務所(いわゆる決済事務所)に勤めていたころは、遺言執行者がいったい何者であるのか、よくわかっていませんでした。
そういったお仕事をそもそも事務所として受任していなかったです。
もちろん試験科目の民法に入っている部分なので、条文知識としてなんとなく持ってはいるものの。。。、という状況でした。
実際に遺言執行のお仕事にあたってみると、民法の書き方もフワッとしていて、どこまでのことをやらなければならないのか、また、やっていいのかということが、自分の中でやはりはっきり整理し切れていなかったのです。
今回相続登記の関係で、ご質問を頂いたので掲載しておきます。
「遺言執行者から司法書士へ委任する内容の委任状をもって、相続登記できるか」というご質問です。
従前の登記の取り扱い
最判平成7年1/24で、「特定の不動産を特定の相続人Aに相続させる旨の遺言により、Aが被相続人の死亡とともに相続により当該不動産の所有権を取得した場合には、Aが単独でその旨の所有権移転登記手続きをすることができ、遺言執行者は、遺言の執行として右の登記手続きをする義務を負うものではない(またその権利も有しない)」とされていました。
なので、遺言執行者からの司法書士への委任状があっても、それでは相続登記ができず、あくまで相続人本人からの委任状が必要という結論になります。
しかし直近の改正民法では、第1014条第4項で、遺言執行者は対抗要件を備えるために必要な行為ができるとされました。
これはなぜかというと、第899条の2第1項で、相続による権利の承継にあっては、法定相続分を越える部分については対抗要件なくして第三者に対抗できないと明確にされ、相続開始後早急に登記を備えるべき要請が高まったからです。この改正にともなって、遺言執行者の登記申請権限が認められるということになります。
ただここで気を付けなければならない点は、民法改正前に作成された遺言書においては、やはり従前の取り扱いによる、という点です。
もっと正確に言うと、新民法施行日である令和元年7月1日前に、遺言書作成が行われている場合は、遺言執行者に登記申請権限はないです。
このことは、民法の一部改正に伴う経過措置の原則を規定する改正法附則第2条によります。
遺言執行者の実務については、ほかにも謎な部分がありますので、後日アップしたいと思います。
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