結局、信託終了後は相続になるのですか?
こんにちは。
司法書士海埜です。
家族信託では現在のところ、委託者兼受益者の死亡によって信託契約が終了する事例が圧倒的に多いのですが、この場合でも契約書の中で、信託契約終了後の帰属権利者を指定します。
これを、相続と誤解されている方が結構いらっしゃるようなので、この記事で説明になればと思います。
まず信託財産は、信託契約が始まった時から、委託者の財産ではなくなりますので、「相続財産」ではありませんよね。
信託財産は「相続」というフィールドから外れるということです。
ですので信託財産の帰属先について信託契約書の中では、「相続」という文言は使用できませんし、信託財産については相続人が「相続放棄」などをすることもできません。
最終帰属権利者への財産移転は、信託契約による効果の発生であって、相続とは全く違う現象だということです。もちろん信託法と信託契約による効果である以上、この財産の移転は有効です。
これは、人が亡くなった時に、民法882条と、信託法182条のどちらが優先的に適用されるかという問題でもあります。
信託法は、民法の「特別法」ですので、民法ではなく信託法が適用になります。
(特別法と一般法の関係について、気になる方は検索して下さい。)
最終帰属権利者の定めは「別途AとBの協議により定める」などとすることも可能ですし、定めを置かないこともできます。
前者の場合実態としては遺産分割協議に似ていますし、後者の場合は信託法182条2項で「信託行為に委託者又はその相続人その他の一般承継人を帰属権利者として指定する旨の定めがあったものとみなす。」とされています。
ですがこれらの場合でも、法的に正確に表現するならば「相続」ではありません。
一方で信託契約終了後は、遺留分権利者は遺留分をもらう権利があるという判例がありますので、最終帰属権利者が本来の相続人から遺留分請求をされる可能性はあります。
このリスクを回避するには、信託契約外で贈与・遺言・その他何らかの手段によって不公平感を払拭する必要があると思います。
最終帰属権利者への課税関係がどうなるかですが、国税局の「相続税基本通達9条の2」の4号、5号によって、相続税(相続人以外に移転するときは贈与税)がかかるということになっています。
この通達は、誰が読んでも理解しにくいのですが、そのように運用されているということです。
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