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信託財産引継の登記義務者は…。
こんにちは。
司法書士海埜です。
最近、信託財産引継のご依頼が多くなっています。
信託契約を結んだけれども、間もなく委託者の方が亡くなったというケースです。
この登記は、「目的:所有権移転及び信託登記抹消」「原因:年月日信託財産引継」となるわけですけれども、あまり書籍等に載っていない問題点があります。誰も論点にしていないところではありますが、当法人では一応、法務局打ち合わせを必ず行ってから申請するようにしていますので、皆さんのご参考になさって下さい。
信託契約終了時の残余財産の帰属先が、信託契約で受託者だった方(ご長男など)になっている場合、信託財産引継の登記申請人はどのように記載すべきでしょうか。
これは何が問題かというと、信託財産引継の登記は、権利者と義務者の共同申請であるところ、委託者(代表的には父母)が死亡している場合は、登記義務者たる父母の地位は相続人である長男などに移転しているため、権利者と義務者が同一人物となってしまうということなんです。
権利者と義務者が同一人物となる代表的な例として、「混同」の登記がありますが、混同の場合は「権利者兼義務者○○」とするのが正解ですよね。
そこで信託財産引継の登記で、権利者と義務者が同一人物となった場合も、混同と同じように、「権利者兼義務者○○」とするのが一般的です。
(少なくとも弊事務所ではこの記載で補正になったことはありません。)
さらに論点となり得るのは、受託者だった長男に兄弟がいる場合です。
この場合、信託財産引継の登記権利者は、受託者だったご長男などになるのは当然ですけれども、それでは登記義務者は長男だけでいいのでしょうか。長男と次男が(他に兄弟がいればその全員が)法定相続によって義務者たる地位を引き継いでいるのではないでしょうか。
もし、そうであるならば、信託財産引継登記の際、兄弟全員が登記義務者として実印と印鑑証明書を用意しなければならないことになります。
しかしこの点について、法務局から指摘されたことは一度もありません。毎回、受託者であるご長男などだけが、登記義務者となっています。このことは、「委託者たる地位が相続されずに受託者に帰属する」などの特約の存在を法務局に示さなくても同様で、問題なく通ってきました。
ちょっと視点を変えて、類似の事例を想起しますと、信託財産引継登記は、実は遺言書がある場合の相続登記によく似ていますよね。そして遺言書があるときの相続登記では、遺言書で指名されている相続人以外に関しては、添付書類は要求されていませんね。
これとのバランスで考えると、現在の取り扱いがやはり妥当ということになるでしょうか。
24/05/16
24/04/25
24/04/07
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こんにちは。
司法書士海埜です。
最近、信託財産引継のご依頼が多くなっています。
信託契約を結んだけれども、間もなく委託者の方が亡くなったというケースです。
この登記は、「目的:所有権移転及び信託登記抹消」「原因:年月日信託財産引継」となるわけですけれども、あまり書籍等に載っていない問題点があります。誰も論点にしていないところではありますが、当法人では一応、法務局打ち合わせを必ず行ってから申請するようにしていますので、皆さんのご参考になさって下さい。
申請人の記載方法
信託契約終了時の残余財産の帰属先が、信託契約で受託者だった方(ご長男など)になっている場合、信託財産引継の登記申請人はどのように記載すべきでしょうか。
これは何が問題かというと、信託財産引継の登記は、権利者と義務者の共同申請であるところ、委託者(代表的には父母)が死亡している場合は、登記義務者たる父母の地位は相続人である長男などに移転しているため、権利者と義務者が同一人物となってしまうということなんです。
権利者と義務者が同一人物となる代表的な例として、「混同」の登記がありますが、混同の場合は「権利者兼義務者○○」とするのが正解ですよね。
そこで信託財産引継の登記で、権利者と義務者が同一人物となった場合も、混同と同じように、「権利者兼義務者○○」とするのが一般的です。
(少なくとも弊事務所ではこの記載で補正になったことはありません。)
受託者に兄弟がいる場合は誰が義務者…?
さらに論点となり得るのは、受託者だった長男に兄弟がいる場合です。
この場合、信託財産引継の登記権利者は、受託者だったご長男などになるのは当然ですけれども、それでは登記義務者は長男だけでいいのでしょうか。長男と次男が(他に兄弟がいればその全員が)法定相続によって義務者たる地位を引き継いでいるのではないでしょうか。
もし、そうであるならば、信託財産引継登記の際、兄弟全員が登記義務者として実印と印鑑証明書を用意しなければならないことになります。
しかしこの点について、法務局から指摘されたことは一度もありません。毎回、受託者であるご長男などだけが、登記義務者となっています。このことは、「委託者たる地位が相続されずに受託者に帰属する」などの特約の存在を法務局に示さなくても同様で、問題なく通ってきました。
ちょっと視点を変えて、類似の事例を想起しますと、信託財産引継登記は、実は遺言書がある場合の相続登記によく似ていますよね。そして遺言書があるときの相続登記では、遺言書で指名されている相続人以外に関しては、添付書類は要求されていませんね。
これとのバランスで考えると、現在の取り扱いがやはり妥当ということになるでしょうか。
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