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慰謝料請求権を分割協議書に記入できるか。事故で亡くなった場合の相続。
こんにちは。 司法書士海埜です。 普段から、「分割協議書を作って欲しい」というご依頼はたくさん頂きます。 その中でも少し特異なケースがありました。
Aさんは、会社帰りに車にはねられ死亡。長男B、次男Cが相続人です。事故についてAさんに落ち度はなく、BさんとCさんは加害者側に損害賠償(内容的に慰謝料)請求訴訟を提起しました。その結果全面勝訴し、3000万円の賠償金を獲得しました。 この3000万円は、まずは代理人弁護士の事務所口座に入金され、精算される予定です。 BさんとCさんは、亡きAさんの遺産について2分の1ずつ相続することで合意しているため、この賠償金についても2分の1ずつ分けようと話していますが、この点を遺産分割協議書に記入していいのか、あるいは別の合意書や覚書などで対応すべきなのか、わかりません。
そもそも慰謝料請求権が誰の権利なのか?という点については、判例がほぼ固まっています。最高裁判所は、被害者の慰謝料請求権は単純な金銭債権として、意思表示の有無を問わず、当然に相続されると判示しているのです。 ということは、慰謝料請求権はもともとAさんの権利であり、Aさんの「遺産」に含まれるため、BさんとCさんの遺産分割協議書に記載して構わないことになります。 そうすると、この権利行使の結果得た金銭についても、同じようにAさんの「遺産」で、遺産分割協議書に記載して構わないと解釈できます。
実際には次のような記載を分割協議書に残しました。 「A死亡に関する損害賠償請求権については、B及びCが各々2分の1を取得することを相互に確認した。」
結局3000万円という具体的な金額を記載しなかったのには理由があって、それはまず税務申告の都合で分割協議日付を訴訟係属中にもってくる必要があり、その時点で判決が出ていないということ。
3000万円の中からおそらく弁護士費用等が除かれるため、最終的にBさんとCさんが得られる金額が司法書士の立場ではわからないことなどからです。
ただ遺産分割協議書の記載は、書いてはいけないことというのは基本的にはなくて、分割の内容がはっきり判りさえすれば、そのほかの「おまけ的な記載」があっても構わないと思います。「おまけ」というのは例えば費用負担についての合意とか、特別に相続人の一人が何らかの義務を負うとかです。
24/05/16
24/04/25
24/04/07
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こんにちは。
司法書士海埜です。
普段から、「分割協議書を作って欲しい」というご依頼はたくさん頂きます。
その中でも少し特異なケースがありました。
事案
Aさんは、会社帰りに車にはねられ死亡。長男B、次男Cが相続人です。事故についてAさんに落ち度はなく、BさんとCさんは加害者側に損害賠償(内容的に慰謝料)請求訴訟を提起しました。その結果全面勝訴し、3000万円の賠償金を獲得しました。
この3000万円は、まずは代理人弁護士の事務所口座に入金され、精算される予定です。
BさんとCさんは、亡きAさんの遺産について2分の1ずつ相続することで合意しているため、この賠償金についても2分の1ずつ分けようと話していますが、この点を遺産分割協議書に記入していいのか、あるいは別の合意書や覚書などで対応すべきなのか、わかりません。
慰謝料請求権は相続財産なのか
そもそも慰謝料請求権が誰の権利なのか?という点については、判例がほぼ固まっています。最高裁判所は、被害者の慰謝料請求権は単純な金銭債権として、意思表示の有無を問わず、当然に相続されると判示しているのです。
ということは、慰謝料請求権はもともとAさんの権利であり、Aさんの「遺産」に含まれるため、BさんとCさんの遺産分割協議書に記載して構わないことになります。
そうすると、この権利行使の結果得た金銭についても、同じようにAさんの「遺産」で、遺産分割協議書に記載して構わないと解釈できます。
今回の対応
実際には次のような記載を分割協議書に残しました。
「A死亡に関する損害賠償請求権については、B及びCが各々2分の1を取得することを相互に確認した。」
結局3000万円という具体的な金額を記載しなかったのには理由があって、それはまず税務申告の都合で分割協議日付を訴訟係属中にもってくる必要があり、その時点で判決が出ていないということ。
3000万円の中からおそらく弁護士費用等が除かれるため、最終的にBさんとCさんが得られる金額が司法書士の立場ではわからないことなどからです。
ただ遺産分割協議書の記載は、書いてはいけないことというのは基本的にはなくて、分割の内容がはっきり判りさえすれば、そのほかの「おまけ的な記載」があっても構わないと思います。「おまけ」というのは例えば費用負担についての合意とか、特別に相続人の一人が何らかの義務を負うとかです。
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