事業そのものを信託するという考え方。

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事業そのものを信託するという考え方。

2019/06/07 事業そのものを信託するという考え方。

こんにちは。

司法書士海埜です。

信託の考え方が社会的に浸透してきていますが、相続対策だけでなく、事業を信託することで事業再生を図るケースが増加しています。

事業譲渡に似ていますが、譲渡するのとは違って、経営権や利益を得る権利は委託者である会社に留まり続けます。

つまり事業を完全に譲渡するわけではなく、「外部にお任せする」といったイメージなのです。

 

事業を信託する場合のスキーム

事業信託は法的には、ある事業に属する財産や債務を包括的に信託する行為です。

事業信託では、委託者である事業者が受託者に事業信託し、受託者は営業利益の一部を受益者に給付します。

要は、受託者に事業運営を任せ、一定割合の利益を授受する行為で、いわゆる「外部委託」のようにも捉えることができます。

⑴委託者のメリット

事業信託には様々なメリットがあります。

まず委託者となる会社における最大のメリットは、経営資源に乏しくても事業再生できる点です。

経営的に厳しい状況で事業再生を図る際には、多くの経営資源を要します。だから中小企業にとって、事業再生は現実的には困難で、結局破産するしかないケースが多いのが現状。

しかし、十分な経営資源を持つ第三者に事業信託すれば、費用をかけずに事業再生を図る事が可能です。

そのようにして事業再生しながら、受益者となる会社や債権者は利益を獲得できます。

⑵受託者のメリット

事業信託の受託者となる第三者にとっても、メリットがあります。

新規事業を開始する場合、基本的には多額の費用や時間・労力がかかりますし、失敗するリスクも大きいものです。

新規事業を迅速かつ低リスクで開始する手段としてはM&Aが有効ですが、M&Aには時間とお金が必要です。

しかし事業信託を引き受ければ、初期投資や時間をかけずに新規事業を運営できます。

 

⑶債権者のメリット

会社が破産した場合、法律上の優先順序に則って換金された財産が分配されるため、債権者は少額の債権しか回収できないことがよくあります。

破産は、債権者にとっては損害なのです。

この損害を回避する為には、事業譲渡の利用がこれまで一般的でした。

しかし事業譲渡を用いる場合、買い手側としてはできるだけ安い価格を主張するのが普通で、これは債権者にとっては不満足な結果に繋がります。

それでは事業信託はどうでしょうか?

事業信託では、債権者がより多額の債権を回収できる可能性が高くなります。

受益権を債権者が保有すれば、事業利益の配当や事業の売却代金等を獲得できますし、また委託者である会社側が受益権を売却し、その売却利益を債権者に分配するという方法でも、破産や事業譲渡と比べれは、債権者への給付が多くなる可能性が高いです。

以上の通り事業信託では、多方面の関係者にメリットがあるということなのです。


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