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事業そのものを信託するという考え方。
こんにちは。
司法書士海埜です。
信託の考え方が社会的に浸透してきていますが、相続対策だけでなく、事業を信託することで事業再生を図るケースが増加しています。
事業譲渡に似ていますが、譲渡するのとは違って、経営権や利益を得る権利は委託者である会社に留まり続けます。
つまり事業を完全に譲渡するわけではなく、「外部にお任せする」といったイメージなのです。
事業信託は法的には、ある事業に属する財産や債務を包括的に信託する行為です。
事業信託では、委託者である事業者が受託者に事業信託し、受託者は営業利益の一部を受益者に給付します。
要は、受託者に事業運営を任せ、一定割合の利益を授受する行為で、いわゆる「外部委託」のようにも捉えることができます。
事業信託には様々なメリットがあります。
まず委託者となる会社における最大のメリットは、経営資源に乏しくても事業再生できる点です。
経営的に厳しい状況で事業再生を図る際には、多くの経営資源を要します。だから中小企業にとって、事業再生は現実的には困難で、結局破産するしかないケースが多いのが現状。
しかし、十分な経営資源を持つ第三者に事業信託すれば、費用をかけずに事業再生を図る事が可能です。
そのようにして事業再生しながら、受益者となる会社や債権者は利益を獲得できます。
事業信託の受託者となる第三者にとっても、メリットがあります。
新規事業を開始する場合、基本的には多額の費用や時間・労力がかかりますし、失敗するリスクも大きいものです。
新規事業を迅速かつ低リスクで開始する手段としてはM&Aが有効ですが、M&Aには時間とお金が必要です。
しかし事業信託を引き受ければ、初期投資や時間をかけずに新規事業を運営できます。
会社が破産した場合、法律上の優先順序に則って換金された財産が分配されるため、債権者は少額の債権しか回収できないことがよくあります。
破産は、債権者にとっては損害なのです。
この損害を回避する為には、事業譲渡の利用がこれまで一般的でした。
しかし事業譲渡を用いる場合、買い手側としてはできるだけ安い価格を主張するのが普通で、これは債権者にとっては不満足な結果に繋がります。
それでは事業信託はどうでしょうか?
事業信託では、債権者がより多額の債権を回収できる可能性が高くなります。
受益権を債権者が保有すれば、事業利益の配当や事業の売却代金等を獲得できますし、また委託者である会社側が受益権を売却し、その売却利益を債権者に分配するという方法でも、破産や事業譲渡と比べれは、債権者への給付が多くなる可能性が高いです。
以上の通り事業信託では、多方面の関係者にメリットがあるということなのです。
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【事業を信託する。自己信託バージョン。】
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こんにちは。
司法書士海埜です。
信託の考え方が社会的に浸透してきていますが、相続対策だけでなく、事業を信託することで事業再生を図るケースが増加しています。
事業譲渡に似ていますが、譲渡するのとは違って、経営権や利益を得る権利は委託者である会社に留まり続けます。
つまり事業を完全に譲渡するわけではなく、「外部にお任せする」といったイメージなのです。
事業を信託する場合のスキーム
事業信託は法的には、ある事業に属する財産や債務を包括的に信託する行為です。
事業信託では、委託者である事業者が受託者に事業信託し、受託者は営業利益の一部を受益者に給付します。
要は、受託者に事業運営を任せ、一定割合の利益を授受する行為で、いわゆる「外部委託」のようにも捉えることができます。
⑴委託者のメリット
事業信託には様々なメリットがあります。
まず委託者となる会社における最大のメリットは、経営資源に乏しくても事業再生できる点です。
経営的に厳しい状況で事業再生を図る際には、多くの経営資源を要します。だから中小企業にとって、事業再生は現実的には困難で、結局破産するしかないケースが多いのが現状。
しかし、十分な経営資源を持つ第三者に事業信託すれば、費用をかけずに事業再生を図る事が可能です。
そのようにして事業再生しながら、受益者となる会社や債権者は利益を獲得できます。
⑵受託者のメリット
事業信託の受託者となる第三者にとっても、メリットがあります。
新規事業を開始する場合、基本的には多額の費用や時間・労力がかかりますし、失敗するリスクも大きいものです。
新規事業を迅速かつ低リスクで開始する手段としてはM&Aが有効ですが、M&Aには時間とお金が必要です。
しかし事業信託を引き受ければ、初期投資や時間をかけずに新規事業を運営できます。
⑶債権者のメリット
会社が破産した場合、法律上の優先順序に則って換金された財産が分配されるため、債権者は少額の債権しか回収できないことがよくあります。
破産は、債権者にとっては損害なのです。
この損害を回避する為には、事業譲渡の利用がこれまで一般的でした。
しかし事業譲渡を用いる場合、買い手側としてはできるだけ安い価格を主張するのが普通で、これは債権者にとっては不満足な結果に繋がります。
それでは事業信託はどうでしょうか?
事業信託では、債権者がより多額の債権を回収できる可能性が高くなります。
受益権を債権者が保有すれば、事業利益の配当や事業の売却代金等を獲得できますし、また委託者である会社側が受益権を売却し、その売却利益を債権者に分配するという方法でも、破産や事業譲渡と比べれは、債権者への給付が多くなる可能性が高いです。
以上の通り事業信託では、多方面の関係者にメリットがあるということなのです。
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