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信託登記と72条2項保存登記
こんにちは。 司法書士海埜です。 今日は同業者から問い合わせがありました、所有権保存登記と信託登記のやり方について。
現金を信託財産とする場合は数多くありますが、その現金で建物を新築したときは、その建物が信託財産となります。信託財産である金銭が、建物に形を変えただけだからです。
従って、その建物の保存登記は、信託財産として受託者名で行うことになります。
登記申請書はおおむね次のような形です。
登記申請書
登記の目的 所有権保存及び信託財産の処分による信託
申請人 〇市〇町〇丁目〇番〇号
(受託者)乙 株式会社 代表取締役〇〇〇〇
添付書類 登記原因証明情報、住所証明書、代理権限証書、信託目録
委託者名義で表題登記のみがされている敷地権付き区分建物を信託契約に基づいて、受託者名義で所有権保存の登記と信託の登記をする登記手続については、こちらの書籍に記載があります。
「信託登記の実務」P135あたりです。
この信託の登記は、所有権保存の登記と同時(一の申請情報)でしなければならないとされています(不登法98条1項,不登令5条2項)。信託のために保存登記をすることから、所有者ではなく受託者として登記します。
所有権保存及び信託
原因 平成〇年〇月〇日信託
(受託者)乙株式会社 代表取締役〇〇〇〇
添付書類 登記原因証明情報、承諾書、住所証明書、代理権限証書、信託目録
平成〇年〇月〇日申請 不登法74条2項申請
それでは新築分譲マンションの場合で、表題部所有者が不動産業者であって、直接買主である受託者に保存及び信託の登記ができるでしょうか?
このような登記申請は、マンションデベとお付き合いの深い司法書士はそれこそ毎日のようにやっていますよね。 通常は、表題部所有者はデベの法人名が入っていると思います。そこから、受託者へ直接(受託者として)所有権保存登記を行うことはできるのかということです。
この点について、詳しく明確に書いてある書籍は、探した限りないのですが、普通に考えると、信託金銭で購入した物件は信託財産なのですから、問題なくできるはずではないのかとも思えますよね。
実際こちらの本には↓
「信託登記の理論と実務」 次のような記載があります(P407)
「(登記原因証明情報について述べた文脈で)・・・もう一つの問題としては、登記原因証明情報の提出が要るのか要らないのかという問題があります。一般的には所有権保存登記のときに登記原因証明情報は要らないということになりますが、ここは前述したように、あくまで保存の登記と信託の登記をするのですから、信託の登記については、やはり登記原因証明情報は提出する必要があります。……敷地権付き区分建物について、建物所有者から所有権を直接取得した者の名義で、所有権保存登記を申請する場合には、登記原因及びその日付を記載しなければなりませんので、(法76-1)この場合は、登記原因証明情報を提出しなければなりません」。
この内容を読む限り、不動産登記法76条と、74条2項は、保存+信託の場合でも当然に適用があると理解できます。
しかし同僚が実務的に法務局と打合せしたところ、「表題部所有者がマンションデベの場合、直接受託者名で保存登記はできない」という結論に達したそうです。理由は、もし信託抹消となり、現状に服する場合に、登記上の手段がないからだと言います(管轄は埼玉県内)。しかし、建物が信託財産であることには間違いがないので、所有権保存+所有権移転及び信託の登記を行うという形式をとることで、なんとか問題をクリアする流れになったそうです。
この点は、また別記事で掲載します。
24/05/16
24/04/25
24/04/07
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こんにちは。
司法書士海埜です。
今日は同業者から問い合わせがありました、所有権保存登記と信託登記のやり方について。
普通の保存登記と信託登記
現金を信託財産とする場合は数多くありますが、その現金で建物を新築したときは、その建物が信託財産となります。信託財産である金銭が、建物に形を変えただけだからです。
従って、その建物の保存登記は、信託財産として受託者名で行うことになります。
登記申請書はおおむね次のような形です。
登記申請書
登記の目的 所有権保存及び信託財産の処分による信託
申請人 〇市〇町〇丁目〇番〇号
(受託者)乙 株式会社 代表取締役〇〇〇〇
添付書類 登記原因証明情報、住所証明書、代理権限証書、信託目録
区分建物の、74条2項保存の場合
委託者名義で表題登記のみがされている敷地権付き区分建物を信託契約に基づいて、受託者名義で所有権保存の登記と信託の登記をする登記手続については、こちらの書籍に記載があります。
「信託登記の実務」P135あたりです。
この信託の登記は、所有権保存の登記と同時(一の申請情報)でしなければならないとされています(不登法98条1項,不登令5条2項)。信託のために保存登記をすることから、所有者ではなく受託者として登記します。
登記申請書
所有権保存及び信託
原因 平成〇年〇月〇日信託
申請人 〇市〇町〇丁目〇番〇号
(受託者)乙株式会社 代表取締役〇〇〇〇
添付書類 登記原因証明情報、承諾書、住所証明書、代理権限証書、信託目録
平成〇年〇月〇日申請 不登法74条2項申請
それでは新築分譲マンションの場合で、表題部所有者が不動産業者であって、直接買主である受託者に保存及び信託の登記ができるでしょうか?
このような登記申請は、マンションデベとお付き合いの深い司法書士はそれこそ毎日のようにやっていますよね。
通常は、表題部所有者はデベの法人名が入っていると思います。そこから、受託者へ直接(受託者として)所有権保存登記を行うことはできるのかということです。
この点について、詳しく明確に書いてある書籍は、探した限りないのですが、普通に考えると、信託金銭で購入した物件は信託財産なのですから、問題なくできるはずではないのかとも思えますよね。
実際こちらの本には↓
「信託登記の理論と実務」
次のような記載があります(P407)
「(登記原因証明情報について述べた文脈で)・・・もう一つの問題としては、登記原因証明情報の提出が要るのか要らないのかという問題があります。一般的には所有権保存登記のときに登記原因証明情報は要らないということになりますが、ここは前述したように、あくまで保存の登記と信託の登記をするのですから、信託の登記については、やはり登記原因証明情報は提出する必要があります。……敷地権付き区分建物について、建物所有者から所有権を直接取得した者の名義で、所有権保存登記を申請する場合には、登記原因及びその日付を記載しなければなりませんので、(法76-1)この場合は、登記原因証明情報を提出しなければなりません」。
この内容を読む限り、不動産登記法76条と、74条2項は、保存+信託の場合でも当然に適用があると理解できます。
しかし同僚が実務的に法務局と打合せしたところ、「表題部所有者がマンションデベの場合、直接受託者名で保存登記はできない」という結論に達したそうです。理由は、もし信託抹消となり、現状に服する場合に、登記上の手段がないからだと言います(管轄は埼玉県内)。しかし、建物が信託財産であることには間違いがないので、所有権保存+所有権移転及び信託の登記を行うという形式をとることで、なんとか問題をクリアする流れになったそうです。
この点は、また別記事で掲載します。
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