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トラブル事例。買った土地の一部が、公道にかかっていた。
こんにちは。 司法書士海埜です。 昨日に引き続き、道路関連のトラブル事例ですが、今回は私道ではなく公道です。
下の図を参照して下さい。
Pさんから、一筆の土地を買いました。私は今回の土地について、乙部分も含まれていると思っていたので、その前提で「甲部分+乙部分」に平米単価をかけた代金を支払いました。 ところが乙部分は実は、国道の一部であることがわかりました。 またPさんはずっと昔に、国に乙部分を譲渡したらしいという情報を、あとで知りました。いったいどうすればいいのでしょうか?
民法の大原則に、177条があります。 この条文は、不動産が二重譲渡されたときには、「登記を先に備えたほうが所有者となる」ということを言っています。
このケースでは、Pさんから、国と相談者に乙部分が二重譲渡されていますので、民法177条に従えば当然相談者が乙部分の所有者となります。
しかし一方で、「道路法」という法律が存在します。道路法4条では「道路を構成する敷地、支壁その他の物件については、私権を行使することができない。」とされていますから
結局は取り戻し請求も、地代請求もできないのです。
道路法4条の但書き「但し、所有権を移転し、又は抵当権を設定し、若しくは移転することを妨げない」という規定によって所有権移転ができるのではないか?という発想もあり得ますが、現に乙部分が道路として使用されている以上は、事実上不可能。 (もしその道路が廃止となったときに、所有者になれるということになります。)
だからこの相談者ができることとしては、Pさんから乙部分の売買代金を返してもらう、ということになります。 あるいは、乙部分がなければ土地を買った意味がないというのであれば、重大な瑕疵として売買契約を解除することも考えられます。
民法177条が、道路法によって簡単に覆されるなんて、「公権力って横暴なのね!」と一見思われるかもしれませんが、道路の公共性(人、車の往来、ライフラインの敷設)は我々が考える以上に大きな要素なのです。 また国が登記を備えるのが遅くなっていたとしても、それ以前に道路として成立するまでには多くの手続きを経ているのであって(路線指定、区域決定、必要な地上権など取得、土木工事などなど) 登記を経ていないという些末な事情で、すでに開通している道路を封鎖するわけにはいかない、というのが判例などの本音かと思います。
24/05/16
24/04/25
24/04/07
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こんにちは。
司法書士海埜です。
昨日に引き続き、道路関連のトラブル事例ですが、今回は私道ではなく公道です。
下の図を参照して下さい。
Pさんから、一筆の土地を買いました。私は今回の土地について、乙部分も含まれていると思っていたので、その前提で「甲部分+乙部分」に平米単価をかけた代金を支払いました。
ところが乙部分は実は、国道の一部であることがわかりました。
またPさんはずっと昔に、国に乙部分を譲渡したらしいという情報を、あとで知りました。いったいどうすればいいのでしょうか?
民法の大原則に、177条があります。
この条文は、不動産が二重譲渡されたときには、「登記を先に備えたほうが所有者となる」ということを言っています。
このケースでは、Pさんから、国と相談者に乙部分が二重譲渡されていますので、民法177条に従えば当然相談者が乙部分の所有者となります。
しかし一方で、「道路法」という法律が存在します。道路法4条では「道路を構成する敷地、支壁その他の物件については、私権を行使することができない。」とされていますから
結局は取り戻し請求も、地代請求もできないのです。
道路法4条の但書き「但し、所有権を移転し、又は抵当権を設定し、若しくは移転することを妨げない」という規定によって所有権移転ができるのではないか?という発想もあり得ますが、現に乙部分が道路として使用されている以上は、事実上不可能。
(もしその道路が廃止となったときに、所有者になれるということになります。)
だからこの相談者ができることとしては、Pさんから乙部分の売買代金を返してもらう、ということになります。
あるいは、乙部分がなければ土地を買った意味がないというのであれば、重大な瑕疵として売買契約を解除することも考えられます。
民法177条が、道路法によって簡単に覆されるなんて、「公権力って横暴なのね!」と一見思われるかもしれませんが、道路の公共性(人、車の往来、ライフラインの敷設)は我々が考える以上に大きな要素なのです。
また国が登記を備えるのが遅くなっていたとしても、それ以前に道路として成立するまでには多くの手続きを経ているのであって(路線指定、区域決定、必要な地上権など取得、土木工事などなど)
登記を経ていないという些末な事情で、すでに開通している道路を封鎖するわけにはいかない、というのが判例などの本音かと思います。
メール umino@umino-legal.jp
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