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家族信託。受益権の価値はどのように算定されるか。
こんにちは。
司法書士海埜です。
今日は少しマニアックな内容でして、家族信託における「受益権」というものの財産的価値についてです。
あまり登記実務には関係してこないと思います。
ただ家族信託を検討されている方は、頭の片隅に置いていて損はない知識です。
このトピックは、家族信託に絡んだメルクマールとも言われている判例の中で触れられています。
東京地裁平成30年9月12日判決。
この事例では、複数の不動産と現金が信託財産とされ、遺留分減殺請求の対象となったわけですが、遺留分減殺の対象について、信託財産そのものとするのか、それとも受益権を対象とするのかというところが論点となり、結論としてそれは「受益権が対象となる」という判旨でした。
それでは減殺率を具体的に計算するときに、受益権の財産的評価をどう計算するべきなのかという点が次なる問題となりました。
簡潔にその内容を転載しますと下記のようになります。
「~~の不動産について、本件信託における受益権は、信託不動産の売却代金、賃料等、信託不動産により発生する経済的利益を受けることができるものであるところ、収益価格を8720万円ないし9470万円とする試算がされていること、固定資産評価額は5933万2510円であること、売却済み不動産◆~◆の固定資産評価額は実際の売買代金の約7割であったこと、不動産◆~◆の売却代金は1億3491万5463円であったところ、〜〜の平成27年における賃料収益は、不動産◆~◆の約7割であったことが認められ、これらを総合すると、その受益権の価格を上記試算の下限である8720万円と評価するのが相当である。」
…とあります。
これだけだと何を言ってるのかよくわからないですが、要は、
いわゆる収益還元法にもとづき計算した金額を、受益権の価値としています。
この判例は、遺留分減殺請求の文脈で書かれているため、いつでもどんな事例でも収益還元法が有効かというとそうではありません。
例えば信託受益権を相続したときの、相続税の算定にあたっては、受益権の評価について通達が出ています。
財産評価基本通達202では信託受益権の評価について「元本と収益との受益者が同一人である場合においては、この通達に定めるところにより評価した課税時期における信託財産の価額によって評価する」。これは信託財産が土地であった場合には路線価評価をするという意味合いです。
24/05/16
24/04/25
24/04/07
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こんにちは。
司法書士海埜です。
今日は少しマニアックな内容でして、家族信託における「受益権」というものの財産的価値についてです。
あまり登記実務には関係してこないと思います。
ただ家族信託を検討されている方は、頭の片隅に置いていて損はない知識です。
このトピックは、家族信託に絡んだメルクマールとも言われている判例の中で触れられています。
東京地裁平成30年9月12日判決。
この事例では、複数の不動産と現金が信託財産とされ、遺留分減殺請求の対象となったわけですが、遺留分減殺の対象について、信託財産そのものとするのか、それとも受益権を対象とするのかというところが論点となり、結論としてそれは「受益権が対象となる」という判旨でした。
それでは減殺率を具体的に計算するときに、受益権の財産的評価をどう計算するべきなのかという点が次なる問題となりました。
簡潔にその内容を転載しますと下記のようになります。
「~~の不動産について、本件信託における受益権は、信託不動産の売却代金、賃料等、信託不動産により発生する経済的利益を受けることができるものであるところ、収益価格を8720万円ないし9470万円とする試算がされていること、固定資産評価額は5933万2510円であること、売却済み不動産◆~◆の固定資産評価額は実際の売買代金の約7割であったこと、不動産◆~◆の売却代金は1億3491万5463円であったところ、〜〜の平成27年における賃料収益は、不動産◆~◆の約7割であったことが認められ、これらを総合すると、その受益権の価格を上記試算の下限である8720万円と評価するのが相当である。」
…とあります。
これだけだと何を言ってるのかよくわからないですが、要は、
いわゆる収益還元法にもとづき計算した金額を、受益権の価値としています。
この判例は、遺留分減殺請求の文脈で書かれているため、いつでもどんな事例でも収益還元法が有効かというとそうではありません。
例えば信託受益権を相続したときの、相続税の算定にあたっては、受益権の評価について通達が出ています。
財産評価基本通達202では信託受益権の評価について「元本と収益との受益者が同一人である場合においては、この通達に定めるところにより評価した課税時期における信託財産の価額によって評価する」。これは信託財産が土地であった場合には路線価評価をするという意味合いです。
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