死後事務委任契約
死後事務委任契約
近年、少子高齢化、核家族化等により、身寄りのない、あるいは身寄りはあっても頼れないなど、自分が死んだあとのことに不安を抱える方が増えています。
死後には、想像以上にたくさんの事務が発生しますが、それをやってくれる人がいないという状況が最近では珍しくないのです。
このような方のご不安を解消する手段として、死後事務委任契約があります。
死後事務委任契約は、より積極的に死後にご自身の遺志を反映したいという方にはとてもマッチした方法です。
死後事務委任契約とは、委任者が受任者にご自身の死後の事務を委任する契約です。
ご自身の死後にその遺志を反映させるために生前に準備できることとしてよく知られているものには、「遺言」がありますが、
遺言で定めることができる事項は法律で定められており、それ以外の事項を遺言に記載しても、法的な拘束力はありません。
そのため、法律で定められた事項以外について遺言に記載しても、それを確実に実現してもらえるとは限らないのです。
死後事務委任契約で、委任者が受任者にお願いできることには、以下のようなものがあります。
⑴葬儀に関するもの
・葬儀方式の指定
・埋葬方法の指定
・供養方法の指定
⑵行政手続きに関するもの
・死亡届の提出
・運転免許証や健康保険証の返還
・年金の受給資格の抹消
・固定資産税等税金の支払い
⑶生活に関するもの
・生前利用したサービス(病院・介護施設)に関する料金の精算
・居住する賃貸不動産の契約の解除や明渡し手続き
・水道光熱費等公共料金の支払いと解約手続き
・SNS等のアカウント削除
・パソコン、携帯電話の個人情報の抹消処理
・残されたペットを施設に入れるなどペットの環境整備
上記以外にも、生活の実情に応じて、さまざまな内容を委任内容に盛り込むことができるのが死後事務委任です。
死後事務委任契約を実施する場合、どれくらいの費用がかかるのでしょうか。
死後事務委任契約書を公証役場で作成した場合、公証人に対し手数料として1万1,000円支払うことになります。
死後事務委任の契約書は、必ずしも、公証役場で公正証書のかたちにする必要はなく、当事者が任意に契約書を作成する方法でもできるのですが、弊事務所では公正証書にすることをお勧めしています。
死後事務が始まる時点で、委任者は亡くなっているので、受任者が正式に死後事務を実施する権限を持っているのかという点について、あとで疑義を生じさせないためです。
よくあるトラブルとして、亡くなった方の他の親族から、「死後事務と称して不当に金銭を引き出している」などと言いがかりをつけられるといったこともあるのです。
これを回避するためには、やはり公証人など第三者の立ち合いのもと、死後事務委任契約を結ぶことが大切だと考えます。
弊事務所が死後事務委任の受任者となる場合は、次のような目安で手数料を設定しています。
葬儀社との打ち合わせ(喪主の代行) | 77,000円 |
契約時に指定された方への連絡 | 1,100円/件 |
医療費等の清算、病室の明け渡し | 22,000円/件 |
埋葬・納骨の代行 | 110,000円 |
役場等への届出、返却書類の手続 | 5,500円/件 |
銀行・証券会社・携帯電話等回線等の払い戻し、解約手続 | 30,000/件 |
公共料金等の支払い | 5,500円/件 |
遺品整理・不動産売却手配 | 実費清算(要見積もり) |
家屋の明け渡し業務 | 55,000円 |
預託金とは、亡くなられたあと実際に死後事務を実施するにあたり必要になる支払い金額を、生前に見積もっておいて、受任者に前もって預けておくお金のことです。預託金を預けることで、受任者は死後事務委任契約に定めた内容をスムーズに実行することができます。
葬儀費用や納骨費用、遺品の整理や医療費・介護費の支払いなど、依頼する死後事務や内容、どこの業者に依頼するかによって預託金の目安も変わってきます。