受託者の権限に制限するには。

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受託者の権限に制限するには。

司法書士うみのブログ

2018/11/17 受託者の権限に制限するには。

 

こんにちは。

司法書士海埜です。

家族信託のセミナーを行うと、よくご質問を頂くポイントがいくつかありますが、その中でも特に多いのが『受託者を監視、監督する仕組みはあるのか?』『受託者が一人で事務を行うのは危険ではないのか?』という点です。今日はこのあたりについて考えてみます。

 

成年後見制度における実状

家族信託とたびたび比較される成年後見制度では、親族が後見人に就任できるケースは全体の3割程度と言われています。親族が就任するケースがもっと多かった時代もありましたが、現在は裁判所に認められにくくなっています。

3割に減った理由は、一説には、親族後見人による横領事案が散見されるようになったからだと聞きます。本人の家族である後見人は、ついつい気が緩んで、本人の財産を使い込んでしまう傾向が見られるということなんですね。
だから、成年後見制度においては、後見監督人の監視をつけるだけではなく、そもそも入口の部分で審査を厳しくしていると言えます。

 

家族信託の受託者は原則として自由

一方家族信託は、委託者と受託者の契約で成立しますので、裁判所が介入する余地がありません。このことを、家族信託の「メリット」として捉える向きもあります。つまり、役所の手続きなしに、家族で気軽に利用できる柔軟性が家族信託のウリと言うこともできるわけです。
しかし裁判所の介入がないということは、当然、親族後見人の場合と同様に、受託者による信託財産の使い込み、横領のリスクが相当あるということになります。受託者は、信託の目的の達成のために、自らの裁量によって信託事務を行うことができるのであって、信託財産に属する財産に関する補修、売却、取壊し、交換、共有物分割、担保設定、訴訟提起等も、全て受託者の権限に属するものであるのが、あくまでも原則です。

 

受託者の権限をおさえるには

そこで家族信託においても、受託者の暴走を防ぐ何らかの措置は必要になりますが、具体的にはどのようにすればよいでしょうか?

受託者の権限に対しては、予め信託行為で定めておくことにより、制限を加えることは可能です。例えば、「売却等の処分行為を、受託者は一切行うことができない」という定めや、「受託者が担保設定を行うには、受益者の承諾を要する」等の定めを置くことにより、受託者の権限を制限することができます(信託法第26条)。

また信託監督人や、受益者代理人といったポジションを設置することも、有効に機能すれば受託者権限の暴走抑止になります。

 

 

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