相続放棄。大家さん明渡しを求められたら?

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相続放棄。大家さん明渡しを求められたら?

司法書士うみのブログ

2019/02/12 相続放棄。大家さん明渡しを求められたら?

 

 

こんにちは。
司法書士海埜です。
相続放棄を検討するときは、3ヶ月の熟慮期間があります。

このことは民法第915条で
【相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。】と定めがあります。

 

この3ヶ月の間に、亡くなった方のプラス財産とマイナス財産がどれくらいあるのかを、相続人は調査し、相続放棄するのか、あるいは承認するのかを、決定し、手続きを行うことになります。
その間、相続財産を勝手に処分すると、相続を単純承認したとみなされ、相続放棄ができなくなりますので、おおよそ財産の調査が完了するまでは、相続財産には手がつけられず、保管しておくのが原則となります。

 

 

しかしそうは言っても、困ってしまうことがあります。
例えば亡くなった方が住んでいた賃貸アパートがあって、そこの家財を片付けなければならない場合はどうでしょうか。
大家さんからは、亡くなった方のご家族に対して、「早く明け渡してほしい」とか、「明け渡しが無理でもはっきりしたスケジュールを教えてくれ」などと要求されることがあります。
大家さんとしては、次の入居者の募集をかける日程を組み、それに合わせて清掃や修繕の業者に連絡しなければなりませんから、これは当然です。
しかし一方では、相続放棄が確定するまで長くて3ヶ月かかるわけで、民法的にはその間、相続財産を処分することができないため、家財の整理処分ができません。というか、財産の調査が済むまでは、相続放棄やそのあとのスケジュールをはっきりさせることも難しいです。しかも相続放棄したあとは、相続人は滞納家賃の支払いも行う必要がなくなり、これは大家さんの損失になります。

 

このような場合、相続人としては
大家さんに迷惑がかかるのは心苦しいと感じる一方で、滞納家賃他、大家さん側の損害は請求されたくないし、法的にはむしろ家財に手をつけてはいけないという
相反する立場・心情のあいだで揺れ動くことになります。

 

大家さんから損害賠償請求されるのか?

それにもうひとつの懸念は、もし相続放棄によって、滞納家賃などの支払いをする必要がなくなるとしても、
大家さんから損害賠償請求される可能性は残ってしまうということです。被相続人死亡後の家財の保管場所として、アパートを使わせてもらえている以上、これに対して対価が発生しないと考えるのは、都合が良すぎます。大家さんがその期間に得べかりし『逸失利益』が大家さんに生じてしまうからです。

 

それではどうするか?

とりあえず家財を搬出して、他の場所に移動させる。

親族がどこかにスペースを保有していれば、このような方法もあり得ます。

が、多くの方にとって現実的ではありません。家財と一言で言っても、テレビ、冷蔵庫などの家電、衣類、布団、これから調査すべき書類関係など、お独り暮らしだったとしても相当の分量があります。

 

そこで実務的によく行われる処理の仕方をご紹介します。
まず遺品整理業者、買取業者に依頼して、早急に部屋を片付け、明け渡してしまいます。
その際、どのような家財があったのか、何をいくらで買い取ってもらったのか、正確な明細を作成しておきます。この明細は、遺品整理業者に頼んで作ってもらうことも、(業者によりますが)できます。
そして買取りによって得られた金銭的利益は、プールしておきます。
つまり家財一式を、「モノではなく現金で保管しておく」ということです。
また、あとで報告書が出せるように、資料として部屋の中の写真を撮影しておきます。
ちゃんと自分が、相当の注意義務をもって家財を管理したのだという証拠を、残しておくのです。

このような処理で、あとで問題になる例がほぼないのは、家財整理によってプラス財産が残る例が9割9分ないからです。

 

 

 

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